【オートモーティブワールド17】“川重”技術の結晶…Ninja H2R ゼロからの開発秘話

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【オートモーティブワールド17】“川重”技術の結晶…Ninja H2R ゼロからの開発秘話

2016年12月14日 17:00掲載

川崎重工業 市聡顕氏 カワサキ Ninja H2/H2R 市聡顕氏

兵庫県明石市川崎町。その地名に記されているとおり、この地に川崎重工業 明石工場がある。山陽線・新幹線 西明石駅の南側に広がる大工場で、あのカワサキ『Ninja H2/H2R』が開発・製造されている。今回そのキーマンのひとり、市聡顕氏へのインタビューが実現。

2017年1月に開幕となる自動車の先端技術展「オートモーティブワールド2017」内のカンファレンスに登壇するという市氏に、イベントに先駆け開発への想いや秘話などを聞いた。

◆「Ninja H2/H2R」への想い

川重 明石工場は、二輪車・エンジン、産業用ガスタービン、ジェットエンジン、ロボットなどをつくるファクトリーで、神戸本社をはじめ、船舶・海洋機器などの神戸工場、鉄道車両などの兵庫工場、西神戸工場、加古川工場、播磨工場などが隣接する川重グループの拠点集結エリアの一翼を担っている。

ここで量産されるNinja H2/H2Rは、「他社製品を圧倒的に凌駕する、Kawasakiらしい突き抜けた二輪車をつくろう」という二輪カンパニーの開発陣の想いから生まれた「Fun To Ride」「感動的な加速感」を体感できるマシン。二輪では珍しいスーパーチャージドエンジン(過給エンジン)を完全内製で装備。文字通り「圧倒的」な加速で「ライダーの期待を超える製品」を実現させた。

同社明石工場モーターサイクル&エンジンカンパニー技術本部 第一設計部 第一課の市氏は、このNinja H2/H2Rの開発リーダーとして、船・飛行機・鉄道・ロボット・タービンといった川重の多岐にわたる技術力を結集させ、「世界中のライダーに夢を与える究極のロードスポーツ」で世に問う。

◆地道な聞き込みと「300馬力超え」目標

カワサキらしい突出したマシンをつくる。そんなテーマの裏には、地道なユーザー聞き込み調査も重ねて行われていた。

「ユーザーの自宅まで設計者が自ら出向いて、どんなところが楽しいか? もっとこうあってほしい、進化してほしいという声を聞いた。販売店や営業ではなくて、実際に図面を描くスタッフが直接、聞きに行くと『よく出来ている。だけどつまらない』『面白みがない』という声が多かった」

「クルマもそうだが、商品が完璧になればなるほど、個性や味がなくなってくる。そこで、いままでなかったスーパーチャージャーを搭載した過給エンジンを採用したマシンの開発に着手した。乗用車の世界では1リットルエンジンで100馬力ぐらい。その倍ぐらいを目指そうと。いや1リットル300馬力を超えようと、高い目標を掲げて取り組んだ」

◆高い目標へ向けた結束力の第一歩

Ninja H2/H2R の開発は、二輪車カンパニーの枠を飛び越え、航空宇宙 空力技術課や、産業用ロボット、航空機用ガスタービンエンジンなどの部門を横断し、“カワサキではなく川重のロードスポーツ”というイズムですすめられた。

「ベクトルを同じ方向に向けるための初めの一歩は、名前を決めること。Ninjaという名前に、H2という、1971年に登場した2ストローク最強パフォーマンスのマシン名をつけた。当時のH2は、2ストのパワーバンドは狭いけど、そこへ入るととたんにドカーンと爆発的に加速する。扱いにくい反面、そこに入ったときの快感はたまらない。そういう興奮が味わえる二輪車だった。その感動をいまのテクノロジーで再構築していこうと。乗りやすく親しみやすいけど、とんでもないパフォーマンス…という意味を込めて Ninja H2 と名付けて開発をすすめた」

◆社内横断プロジェクトの秘訣

名前が決まり、各部門がひとつの目標に向かってすすみ始めると、こんどはどうまとめるか、いかにモチベーションを保ってプロジェクトを遂行させるかが問われてくる。

「それぞれの部門が忙しいというのに、ちゃんと協力してくれるの?と聞かれる。小さな町工場でも同じことで、社内で別部門の存在は知っていても、ひょっとしたらうちで使えるかもしれないというレベルでとどまっている。そこで、社内の各部門を横断して新しいものをつくる秘訣は3つあると気づいた」という市リーダー。「まず想いを伝える、そしてやる気にさせる」と説明したあと3つめの秘訣については、「カンファレンスで色々と詳しく語りたい」と伝えていた。

◆エンジンにこだわる理由

スーパーチャージャーという過給機をつけ、300馬力を超えるモンスターマシンを、川重がそれぞれ持つ技術を結集させてつくりあげたNinja H2/H2R開発プロジェクト。では、パンチ力などで勝ると思われる電気モーターなどに手を出さず、エンジンにこだわった理由は何か。

「電気モーターの研究もおこなっているが、やっぱり音がないバイクはつまらない。単純にブンブンまわすときに、エギゾーストは必要。300km/hの世界は新幹線や飛行機に乗れば誰でも体験できる。だが、それを速いと思うかというと別の話。自然と対話しながら、風を受けながら走るという二輪車の醍醐味、速さをダイレクトに感じるという意味でも、エンジンは必要だった」

市氏が Ninja H2/H2R にかける想いは、まだまだ続く。ここに記せなかった「世界にないオートバイをどうやってテストするか」「未知の領域へトライする意味とその先に見えた風景」「圧倒的パフォーマンスと燃費性向上の両立」「H2からつくってハイパフォーマンス版のH2Rをつくるか、H2RからH2に落とし込むか?」などについては、2017年1月18日に開幕する「オートモーティブワールド2017」で語られるということだ。カンファレンス「川崎重工業 市聡顕 テクノロジーの頂点を極めたモーターサイクル『Ninja H2/H2R』の開発」(1月20日、11〜12時)でさらに詳しく聞けるだろう。

また同イベントの川崎重工業ブースでは、米ユタ州にあるグレートソルト湖でおこなわれた最高速チャレンジ「ボンネビル・ソルトフラッツ」を駆け抜けた特別なH2Rが展示される。社内クラブチームによって開発された川重技術の粋に触れるチャンスとなる。

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メーカー 製品名
カワサキ ニンジャ H2

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