メルセデスAMG GT に頂点、730馬力の「ブラックシリーズ」…ニュル最速の市販車に
メルセデスベンツは11月18日、メルセデスAMG『GTブラックシリーズ』(Mercedes-AMG GT Black Series)が、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおける最速の市販車になった、と発表した。そのラップタイムは、6分43秒616だ。
「ブラックシリーズ」とは、メルセデスAMGのブランドスローガンの「ドライビングパフォーマンス」を体現したピュアドライビングマシンだ。メルセデスAMGが、モータースポーツで培った最先端テクノロジーを注ぎ込んで開発。究極の運動性能と圧倒的な存在感を示すスタイリングを兼ね備えたモデルとなる。
◆専用チューンの4.0リットルV8ツインターボ
メルセデスAMG GTブラックシリーズは、メルセデスAMG史上、最もパワフルな市販車となる。ドライサンプ潤滑システムを備えたメルセデスAMG の4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを、強化して搭載する。
ブラックシリーズでは、ツインスクロールのターボチャージャーを減摩ベアリングに取り付け、スロットルレスポンスをさらに高めた。ターボチャージャーには大型のコンプレッサーホイールを装備。1時間あたりの空気供給量は、メルセデスAMG『GT R』の900kgを上回り、1100kgに達するという。大型のインタークーラーも装備されている。
これらの変更により、メルセデスAMG GTブラックシリーズは、最大出力730hp/6700〜6900rpm、最大トルク81.6kgm/2000〜6000rpmを獲得する。新しいカムシャフトと排気マニホールドが新しい点火順序に適合し、ガスサイクルをさらに改善しているという。
◆0〜100km/h加速3.2秒で最高速325km/h
メルセデスAMG GTブラックシリーズは、リアアクスルに配置されている7速デュアルクラッチの「AMG SPEEDSHIFT DCT 7G」を介して、後輪を駆動する。この7速デュアルクラッチは、最大トルク81.6kgmに対応するよう強化された。7速デュアルクラッチのパフォーマンスやレスポンスは、よりサーキットに適したものに改良されている。
発進時のエンジン回転数の引き上げ、ホイールスリップコントロールの性能向上、スポーツタイヤのサーキットへの適合により、レーススタート機能が強化された。トランスミッション冷却性能も引き上げられ、ギア比も変更された。これらの変更により、メルセデスAMG GTブラックシリーズは、0〜100km/h加速を3.2秒で駆け抜け、9秒以内に200km/hに到達する。最高速は325km /hだ。
エンジンとトランスミッションをつなぐ「トルクチューブ」は、カーボンファイバー製で重量は13.9kg。メルセデスAMG GTのアルミ製よりも約40%軽量だ。ドライブシャフトも、軽量なカーボンファイバー製とした。
メルセデスAMG GT ブラックシリーズ
◆モータースポーツの技術を採用したサスペンション
ブラック塗装のブレーキキャリパーとホワイトレタリングを備えた軽量なセラミック高性能コンパウンドブレーキシステムを、標準装備した。専用のブレーキパッドとディスク、最適化されたブレーキ冷却により、強力な制動力を発揮する。標準の鍛造アルミホイールも軽量化に貢献している。
ダブルウィッシュボーンとステアリングナックル、前後のハブキャリアは100%鍛造アルミ製とし、バネ下重量を軽減した。モータースポーツの技術が採用されたダブルウィッシュボーン式サスペンションは、ホイール支持とサスペンション機能を分離し、スプリングストラットとダンパーストラットを下側のラテラルリンクで支える。このため、上下動を最小限に抑えつつ限界に近い状況のコーナリングにおいて、路面の感覚を的確にドライバーへ伝える。リアアクスルのロアウィッシュボーンに採用したピロボールジョイントもモータースポーツから流用した技術だ。ウィッシュボーンブッシュより耐摩耗性が高いうえ、設計上まったく遊びがないことから、大きな荷重を受けてもトーインとキャンバーが変化しない。その結果、さらにドライバーの意思に忠実に走行することが可能になったという。
調整可能なメルセデスAMGのサスペンションを装備した。このモータースポーツのテクノロジーは、「AMGライドコントロール」の連続可変アダプティブダンピングシステムと組み合わされている。
AMGライドコントロールは、各ホイールの減衰力を走行中のハンドリング状況や車速、路面状態に合わせて自動調整する。この減衰特性の調整を高速かつ精密に行うために、ダンパー内に伸び側用と縮み側用のバルブを別々に備えている。コーナリング時やブレーキング時などにはダンピングレートが硬くなることで、ロールが効果的に低減される。なお、車速に応じた減衰力連続調整には、高速走行時にも最大限の接地性を確保することで安全性を高める効果もあるという。
さらに、AMGドライブユニットシステムのボタンを押すか、「AMGダイナミックセレクト」のドライブモードを使用することで、アダプティブダンピングシステムの特性を調整できる。日常走行の快適性を優先する「C(Comfort)」、ニュルブルクリンクの北コースのような一部起伏があるようなサーキット走行に適した「S(Sport)」、鈴鹿サーキットなどのグランプリサーキット走行に適した「S+(Sport Plus)」の3つのシフトモードを採用している。
タイヤは、ブラックシリーズ専用のミシュラン「パイロットスポーツカップ2 R MO」。サイズは、フロントが285/35ZR19、リアが335/30ZR20とした。サーキット向けに、ハードコンパウンドがオプションで選択できる。
◆9段階に調整できるAMGトラクションコントロール
「AMGトラクションコントロール」もモータースポーツの技術が採用されたシステムだ。駆動輪であるリアアクスルのスリップ量を、9段階であらかじめ設定することができる。操作は、エアアウトレット下のセンターコンソールにある専用ダイヤルで行う。設定の違いによって、リアホイールに許されるスリップ量が変化することから、さまざまな路面状況に対応する。
レベル1は、ウエット路面を、安全に余裕を保ちながら走行する設定。一方、レベル9ではリアアクスルのスリップを最大限許容する。選択された設定は、ロータリースイッチを囲むLEDゲージに表示される。この表示方式もレーシングカーから採用している。マルチファンクションディスプレイのセンターディスプレイにも設定が表示される。
AMGトラクションコントロールの利点は、仮想μシミュレーターや制御装置が処理するさまざまなデータを利用して、状況を瞬時に予測できることだ。駆動するリアホイールの最大許容スリップ量は、AMGトラクションコントロールの選択レベルに応じて計算される。加速中にホイールスリップが上限レベルに達すると、AMGトラクションコントロールはこの許容量を超えないようにエンジン出力を調整する。このため、車体は設定されたスリップ量の中で加速を続ける。調整には「AMGリミテッド・スリップ・デフ」の効果も含まれる。
◆ランボルギーニ アヴェンタドールSVJの記録を更新
メルセデスベンツは、このメルセデスAMGGTブラックシリーズをドイツ・ニュルブルクリンク北コースに持ち込み、タイムアタックを行った。ドライバーにはメルセデスAMGのファクトリードライバーとして、レーシングカーのメルセデスAMG「GT3」に乗るマロ・エンゲル選手を起用した。
今回のタイムアタックでは、メルセデスAMG GTブラックシリーズのすべての標準装備を最大限に活用した。例えば、調整式のカーボン製リップスポイラーを「レース」位置に設定し、リアスポイラーのウィングブレードを、中央位置に調整した。調整可能なメルセデスAMGのサスペンションは、フロントで5mm、リアで3mm下げられた。キャンバー角は、フロントでマイナス3.8度、リアでマイナス3.0度の最大値に調整。スタビライザーも、最もハードな設定とした。9段階のAMGトラクションコントロールは、6と7の間に調整された。これらの調整は、メルセデスAMG GTブラックシリーズのすべての顧客が行えるという。
タイムアタックの結果、メルセデスAMG GTブラックシリーズは、6分43秒616のラップタイムを計測した。2018年にランボルギーニ『アヴェンタドールSVJ』が打ち立てた6分44秒97を上回り、ニュルブルクリンク北コースにおける最速の市販車になった、としている。
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