2021年01月04日 06:01

【ロールス・ロイス ゴースト 新型試乗】10年ぶりの刷新 "究極の贅沢"は、"脱贅沢"から…

栃木県日光の中禅寺湖畔にこの春オープンした、世界的に有名なラグジュアリーホテルチェーン「ザ・リッツ・カールトン 日光」で行われたのは、この度9月に発表されたロールス・ロイス新型ゴースト(GHOST)のメディア試乗会。

国際試乗会の一環として日本でも開催されたわけだが、なぜ日光なのかという理由を、広報のミッシェル・ローズマリー氏は教えてくれた。ここ日光には2008年まで英国大使別荘があり、明治時代に英国外交官が建てた個人別荘が今は栃木県所有の下、英国大使館別荘記念公園内に残されている。あの紀行作家として知られるイザベラ・バードも滞在したということで、意外にもイギリスとの関係が深い日光。試乗ステージとして選ばれた理由にもすんなりと納得がいった。クルマはもちろん、そしてステージも英国繋がりということで、ロイヤル王朝の気品を感じながらの試乗会がスタートする。

はじめに感じたのは、本当に自分が運転して良いのだろうか、ということだった。恐れ多くもロールス・ロイス。できればショーファーでどこまでも連れて行って欲しい、そう願いたくなる御車だけに、かつてないほど「クルマ」に対しての異様な緊張を覚えた。しかしこの後、そう考える自分をこのクルマはなんとも優しく迎えてくれたのだ。

◆"脱贅沢"と"おもてなし精神"

ホテルエントランスで我々一行を出迎える新型ゴースト。圧倒的存在感を放つのは言うまでもないが、10年振りの刷新となるその姿に不思議と威圧感はなかった。堂々たるプロポーションと気品溢れるデザインは、誰もが知るロールス・ロイスそのものではあるが、どこか優しく落ち着いた雰囲気が漂う。

そう感じさせたのはブリーフィングで流れた映像で語る同社CEOのトルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏によるプレゼンが印象的だったからだ。その中で彼は「ポスト・オピュレンス」というフレーズを何度も用いた。聞き慣れない言葉であるが、「脱贅沢」という意味を持つ哲学の考え方らしい。確かに新型ゴーストは柔らかく落ち着いた雰囲気を醸し出しているのだが、ロールス・ロイスが"脱贅沢"と言われてもどうも腑に落ちない。しかしそれを端的に示しているのがデザインだという。ゴーストのオーナーは、これまでの自身の"大げさなブランディングを控える"という自己表現に変化を起こしている、と同氏は話す。その言葉通り、ボディには過度なラインがなく、車体を上下に分断するさりげなく柔らかなショルダーラインがロールス・ロイスのアイデンティティを感じさせるが、そうした演出も実は”主張しすぎない奥ゆかしさという解釈で、新たなオーナーへ向けてアピールしているかのように見えた。

◆利休とロールス・ロイス

また、インテリアを見ればそれは歴然だ。木目基調のワイドなインパネと、いかにも座り心地の良さそうなシートは確かに垂涎ものだが、華美なデザインというよりも、上品なシンプルさの頂点を極める方向を示唆しているように思えた。ここで千利休のとある茶室が頭を過ぎった。2畳分しかないとされる極狭の薄暗い「待庵」という茶室だ。ここは、茶室内に一点の陽の光が差し込み、飾ってある一輪の花をそっと照らすという究極の雅を演出した間として知られているのだが、それが新型ゴーストの車内天井の星空の演出と見事に被るのだ。夜間の暗い車内に無数の小さな光が満点の星空を演出する様は、見せ方は違えどまるでふたつの空間が究極のおもてなしという観点だけで創られ、共通の価値観が存在しているかのように思えてならない。特別な人をおもてなす特別な空間作りという理念、それはどこか心の平安をもたらす、ロールス・ロイスの思想が息づいているように思えた。

◆テクニカルは先代から全てを一新

新型ゴーストのコンポーネントは、先代から受け継いだのはわずか2つ。フライング・レディと呼ばれるエンブレムの"スピリット・オブ・エクスタシー"、そしてドアに仕込まれたアンブレラのみ。つまりそれ以外はイギリス・グッドウッド生まれの先代ゴーストから全てを一新させている。

試乗コースは、中禅寺湖北岸を西へと向かい、金精峠を抜けて群馬県の丸沼高原までのワインディングルートと、宇都宮までの高速ルートのふたつが用意された。新型ゴーストに搭載されるエンジンはV12の6.75リッター(最高出力571ps /最大トルク850Nm)というハイパワースペック。至極滑らかなに噴き上がるのは当然で、ワインディングではアクセルを踏み足すと景色は一変した。まるで余暇にヨーロッパの山間部を駆け抜けていく、そんなリッチな気分を想像したくなる。さらに、GPSで前方のカーブを読み取り、最適なギアを選択してくれる新搭載の「サテライト・エイデッド・トランスミッション」は躊躇なくゴーストを峠へと押し進めてくれる。ステアリングフィールは適度な重さとしっかりとした手応え感があるが、ハンドリングは想像以上にクイックだ。とにかく運転がしやすいことに驚かされた。

車内の静寂ぶりも「動く貴賓室」そのものだ。エンジンが"ささやいている"と言った方が良いのかもしれない。それくらいのわずかな音が聞こえる程度だ。その遮音性には合計100kgもの防音素材を使用しているとのことで、「静粛性の方程式」を知るロールス・ロイスの拘りと言える。

高速道路でもそのボディサイズ(全長5,545mm 全幅2,000mm 全高1,570mm 車重2,540kg ※サンルーフ装着車は2,590kg)からは到底想像つかない軽快な走りが楽しめた。まさに極上フィーリングだ。前述した滑らかな噴き上がりはもちろん、巡航時は旅客機が上空で安定飛行しているときの、まるで浮遊しているかのような感覚だ。ただロールス・ロイスではこれを「マジック・カーペット・ライド」と呼ぶ。確かに"空飛ぶ魔法の絨毯”の方が素敵な例えだ。

◆乗り心地への飽くなき探求精神

後席にも座ってみたのだが、いつ眠りに落ちてもおかしくないほどの乗り心地の良さが提供される。この乗り心地の良さには大幅なメスが入っていることもお伝えしなければならない。今回刷新された「プラナー・サスペンション・システム」は、通常のフロントサスペンションのウィッシュボーン部にダンパーを装着し、さらなる安定感と快適性を狙った世界初の「アッパー・ウィッシュボーン・ダンパー」という仕組みが採用され、ボディへのエネルギー伝達を抑える働きをしている。そして、これに連動してフロントガラスに一体化されたステレオカメラが前方の路面状況を検知してサスペンションを最適化する技術も盛り込まれており、一貫した「乗り心地への飽くなき探求精神」というのが、ロールス・ロイスの根底にあるのは確かだ。

千利休のおもてなし精神と、どこか通ずる感じがするロールス・ロイスの理念。そのクルマづくりは意外にも日本人が共感できるエッセンスがふんだんに盛り込まれていることに気付かされた試乗会だった。

■5つ星評価

パッケージング:★★★★★

インテリア/居住性:★★★★★

パワーソース:★★★★★

フットワーク:★★★★★

オススメ度:★★★★★

記事提供:レスポンス

掲載に関する免責事項について
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。

ロールス・ロイス

価格.comで最新価格・クチコミをチェック!

ロールス・ロイス(rollsroyce)の自動車(本体) ニュース

もっと見る

このほかの自動車(本体) ニュース

もっと見る

自動車・バイクニュースランキング

  1. 三菱 アウトランダー 新型

    三菱 アウトランダー 新型発表、日本導入は…順次

    自動車(本体)
    2021.02.24 09:04
  2. レクサス IS500 Fスポーツ・パフォーマンス

    レクサス IS に5.0リットルV8搭載!!…IS500 Fスポーツ・パフォーマンス 登場

    自動車(本体)
    2021.02.24 09:11
  3. BMW X6 改良新型プロトタイプ(スクープ写真)

    BMW X6 第3世代が早くも大幅改良へ!デュアル湾曲スクリーン初搭載

    自動車(本体)
    2021.02.24 06:27
  4. メルセデスベンツ GLB 250 4MATIC スポーツ

    意外と本格派?貴重な3列シートSUV、メルセデスベンツ GLB250 4MATIC[詳細画像]

    自動車(本体)
    2021.02.24 06:25
  5. BMW 7シリーズ/i7 次期型プロトタイプ(スクープ写真)

    BMW 7シリーズ 次期型ラインアップ情報を独占入手!「i7」の頂点には「M60」

    自動車(本体)
    2021.02.24 06:30

総合ニュースランキング

  1. 「Figure-riseLABO 式波・アスカ・ラングレー」

    肌と密着した透明スーツを表現、「Figure-riseLABO 式波・アスカ・ラングレー」発売日決定

    プラモデル
    2021.02.23 06:55
  2. 「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」

    バンダイ、“究極のガンプラ”「PG UNLEASHED RX-78-2」2月生産分を一般発売へ

    プラモデル
    2021.02.24 12:22
  3. 「快適おひとりさま空間 家ナカ秘密基地テント CPSSBTNV」

    おひとりさま用プライベート空間「家ナカ秘密基地テント」が6,980円で発売

    ゲーム周辺機器
    2021.02.22 12:23
  4. HG 1/144 エルガイム

    スタイリッシュにアップグレードしたHGプラモ「1/144 エルガイム」の発売日決定

    プラモデル
    2021.02.23 07:10
  5. 加熱式タバコ「lil HYBRID(リル ハイブリッド)」

    アイコス展開のPMJ、新加熱式タバコ「lil HYBRID introduced by IQOS」を全国で発売

    電子タバコ・加熱式タバコ
    2021.02.10 10:00

読んでおきたい まとめ記事

自動車

カー用品

バイク

写真で見る

  • CAST
  • 「Jelly 2」
  • トヨタ・ミライ 新型の米国初導入分の1台
  • OXI INFOオキシインフ
  • MG 1/100 ガンダムエクシア リペアIII