2021年10月24日 06:30

イメージは確実に変わった!新型ランクル GRスポーツの最新技術が凄い!

以前、東京から山中湖までを往復するコースでその走りを試した新型「ランドクルーザー」300系。ラダーフレームからTNGAロジックでつくり上げたボディオンフレーム構造は堅牢でいい感じに仕上がっていたのは以前レポートした通り。

インターフェイスなど新しさがちゃんとあって、進化の度合いの高さを見せた。ドライブモードを“スポーツ”にすればイマドキのSUV的な走りが、“コンフォート”にすれば伝統的なランクルテイストを楽しませてくれる。ガソリンとディーゼルそれぞれのV6ユニットがこの大きなボディを不満なく走らせるのも付け加えておこう。

そんなランクルを今度はオフロードで試した。場所は豊田市の猿投にある「さなげアドベンチャーフィールド」。トヨタのお膝元である。

◆現行プラドにも積まれる「KDSS」の進化版「E-KDSS」とは

目玉の技術は、GRスポーツに装備される2つのオフロードに特化した新技術。電子制御で前後のスタビライザーを独立して動かす「E-KDSS」と「電動式フロントデフロック」。これが大きな役目を果たすのは言わずもがなである。

E-KDSSは現行「ランドクルーザー プラド」にも積まれる「KDSS」の進化版。油圧シリンダーによってスタビを上下動させ、タイヤの接地効率を高めるものだ。乱暴な言い方をすればスタビを無力化させるような感じ。で、今回はそれを電子制御する。よって、オフロードでのモーグルやロックセクションなどで片足が浮きそうな状態でもトラクションを稼げる可能性が高まった。事実そうした路面状態でクルマが傾きかけてもクルマを前へ進めようとする力強さを感じた。いい塩梅だ。

また、フロントのデフロックはある意味最強と言われるもの。メルセデスの「ゲレンデヴァーゲン(Gクラス)」やジープ「ラングラー ルビコン」、それとレンジローバー系の一部モデルという限られた車両にのみ装備され、悪路の走破性を確保している。

◆4WDローレンジとデフロックで鬼に金棒

厳しい状況下でまずはセンターデフ、そしてリアデフをロックするが、それでも脱出できないような場面では最強の武器となる。これまで、世界中のオフロードコースで新型車のテストドライブをしてきたが、フロントデフロック機構に助けられたことは何度かある。

ということで、GRスポーツの電子式副変速機を4WDローレンジにして、こうした装備を稼働させると鬼に金棒。あらゆる路面をクリアできた。グイッと太いトルクがしっかり路面をグリップしながら進むのがわかる。泥でも岩でもお構いなし。きっとタイヤの外径を大きくし、マッドテレインのようなオフロードタイヤに履き替えればパフォーマンスはさらに上がるであろう。

◆ボンネットが透けているように見える?マルチテレインモニターがユニーク

それじゃ、こうした機構のないスタンダードモデルの走りはどうかというと、これはこれで楽しい。リアのリジットアクスルの動きを含めサスペンション全体の動きは通常のオフローダーに準じる。なので、オフロード走行を慣れている方はもしかしたらこちらの方が扱いやすく、かつ自然に感じられるであろう。個人的にも好きなタイプの動きである。経験値に基づいて、ラインどりを楽しめるからだ。

今回ランクル70も少しだけ走らせていただいたが、まさにそれが如実に味わえた。

この他では「マルチテレインモニター」というのがユニークな装備。4つのカメラがクルマの周辺をモニタリングしてセンターモニターに映し出すというものだ。しかも、フロントの映像を加工した直後にリアルなフロント映像と繋ぎ合わせることで、まるでボンネットが透けているように見せてくれる。ランドローバー車にもある装備だが、これはあると便利なのは間違いない。助手席の人も楽しめる。

◆細かい速度域を精緻にコントロールする「クロールコントロール」

「クロールコントロール」も今回は存分に使ってみた。いつもはちょっとだけ使ってすぐに切ってしまうが、同じコースを何度か走ることができたので、普段以上に試せたのだ。で、ここで感じたのはその精度の高さ。

スピードを時速1km/hから5km/hまでダイヤルでコントロールするのだが、その制御はお見事。細かい速度域をこれだけ精緻に使いこなせるのはもしかしたらこのクルマだけかもしれない。まぁ、こちらもオフロードを楽しみにしているエキスパートには関係ないかもしれないが、開発陣の技術力の高さがうかがえる。

ということで、GRスポーツとそれ以外のモデルをオフロードで試すことができた。オンロードだけでは評価できないクルマなのでいい機会である。というのも、イメージは確実に変わったからだ。

やはりランクルが生き生きするのはオフロードコース。つまり、オンロードだけ走ってイマドキのSUVと比較してもなんら意味はないということだ。さすがランクル。コアなファンが途切れない理由はそこにあるに違いない。

■5つ星評価

パッケージング:★★★★★

インテリア/居住性:★★★

パワーソース:★★★★

フットワーク:★★★

オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

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