2023年01月11日 17:35

『モデルY』大幅値下げの衝撃!問題はリセール価格だ【テスラ モデルY 買いました 13】

テスラ『モデルY』が発売されたと同時にとっさにポチッてしまった一編集者である筆者。今回、2023年1月6日、突如テスラ『モデル3』と『モデルY』が大幅な値下げを行った。このニュースに衝撃を受けたのが昨年“うっかり”モデルYをポチってしまった本連載の筆者である。その心境を今回ありのままに伝えよう。

◆えっ!こんなに値下げしたの?

1月6日、なにげなくTwitterを見ていたボクの目に飛び込んできたのが「テスラ」、「値下げ」の文字。はは〜ん、中国かぁ。中国ではいろんなEVが販売されて競争が厳しいらしいしなぁ、と、のんきにタイムラインを眺めていると「日本でも!」という文字が飛び込んできた。ん、なに?? なんと日本でも値下げされたという情報ではないか。

すぐさまテスラのサイトにアクセスする。そこで表示されていたのは、「Model Y ¥5,799,000」の表示。え〜っと、ボクが買ったのは…600万円以上だったから…なぬ! えっ! 50万円!? 30万円!? とにかく安くなっていることを悟った。

冷静になろう…。心を落ち着けて計算してみた。たしかポチッと注文したときは619万円だった。そしていまは579万9000円。その差40万9000円。そっか、40万円か…大きく深呼吸して、部屋の天井を見つめた。そして確認したのが、モデルY パフォーマンスの価格だ。こちらは750万9000円。ここで少し安心する。

当初からパフォーマンスは手に届かない価格だし、こんなに高いスペックは手に余ると考えていた。ただEVの航続距離の長さは安心感にもつながるので、国土交通省審査値WLTCモードでモデルY RWDは507km、パフォーマンスは595kmと、この程度の差でも長いほうがいいよな、とは考えていた。

しかし、そのパフォーマンスの価格がボクが買ったRWDとほとんど差がなったらどうしよう…後悔しそうだ、と、そう思っていたが、その価格はまだ750万円以上。いま買うにしても、ボクにとってはちょっと高いからたぶん購入しないだろう。であれば、まぁ、発売後すぐに手に入れて、そのぶん早く楽しめたと考えれば値下がりも納得はできる。

そもそもテスラがいろいろな状況に合わせて、迅速に値下げや値上げをすることは第1回目『20分で600万超のクルマを躊躇いなくポチった理由』でご紹介した。そのときは2021年のモデル3のことだったが、いつでもそうなる可能性があることは折り込み済みだ。そもそもこのモデルYだって、発売1週間後には約25万円値上げされているのだ。そう考えると不思議なことはなにもない。

とはいっても、やはり“値下げされた”本人としては気持ちがよいものではない。いやいや、ボクよりも、この年末に納車されたユーザーは、気持ち悪いと言うよりも怒りのほうが先にくるのかもしれない。その差60万円以上だ。だれにもぶつけられない怒りは持っていく場がない。黙って涙を拭うしかないのかもしれない。

逆に胸をなで下ろした人もいるだろう。第2回で紹介したように、テスラの場合、注文後、値上げしたときは注文時点の価格に据え置かれ、値下げのときは値下げ価格を適用する。だから、注文済みだがまだ納車されていない発注者の価格は今回値下げされた価格が適用されるのだ。

ここで今回のモデルYの価格改定について整理すると以下のようになっている。

RWD:643万8000円 → 579万9000円 ※63万9000円の値下げ

パフォーマンス:833万3000円 → 750万9000円 ※82万4000円の値下げ

ちなみにモデル3の価格改定も以下に紹介しておこう。

RWD:596万4000円 → 536万9000円 ※59万5000円の値下げ

ロングレンジAWD:709万1000円 → 638万9000円 ※70万2000円の値下げ

パフォーマンス:793万9000円 → 714万9000円 ※79万円の値下げ

いずれにしても“新春初売りセール”と言ってもいいほどの大幅な値下げだ。約10%の値下げなのだから。

昨年末からすでに発売済みの国内メーカーのEV車は50〜100万円の値上げを発表していた。それからするとテスラはまったくの逆をいく戦略で、国内メーカーとしては新春早々から出鼻をくじかれたカタチだ。

◆落ち着いて考えてみた…

さて、ここでもう一度落ち着こう。そうボクだ。いろいろと複雑な想いはある。パフォーマンスとの航続距離の違いも落ち着いて考えると実際はWLTCモードの90kmの差はないと思う。

モデルY RWDに、いま実際に乗ってみて思うのだが、車内スクリーンに表示される距離は当初435km。いまは少し減って428kmだ。ボクはそこまでの長距離は連続して乗ったことがないので、実際はもっと短いのかもしれない。そうなるとカタログ表記のWLTCモード507kmからは100km程度かそれ以上下回る。

となればパフォーマンスのWLTCモード595kmもあやしい。SNSなどの情報では、パフォーマンスの実際の航続可能距離は450km程度のようなのでRWDとの差は実際はそこまでないのかもしれない。そこまでの加速力を必要としてないボクにとって、航続距離の差がその程度であれば、パフォーマンスに手を出すことはないので、今回の値下げでも「あと少し足せばパフォーマンスが買えた」と思うほどの後悔はない(ということにしておこう)。

◆問題はリセール価格だ

それ以上に今回の値下げで大きな影響を受けるのは、クルマを買い換えるときのモデルYやモデル3の下取り価格だ。モデルYが発表されたときは、モデル3からの買い換えで、そのときのモデル3の下取り価格が話題になるほどとても高かった。最低額で購入した人は購入価格と同程度の価格で下取りがされたという話もあった。

しかしそのあと、モデル3の下取りが増えたせいで認定中古車が増え、その下取り価格も落ち着いてきた。また、モデルYも発売が開始されてすぐには、ほぼ発売価格で市場に中古車が出回っていた。しばらくは下取り価格もよかったようで、RWDを売ってパフォーマンスに乗り換えるユーザーも出現した。

が、大幅に値下がりしたいま、頭を抱えているのは競合EVを販売する国内メーカーだけではない。“高値づかみ”をしてしまった中古車販売業者だ。この方々は、いままでの新車価格が維持されることを念頭に中古車を買い取る。その新車価格のままであれば、10%安い値段でも販売間もないので中古車は売れたであろう。そういう目論見で中古車を仕入れていたのが、いきなり新車が10%値下げされたのである。

とうぜんいま現在の価格を見直さなければならない。1月9日現在、中古車の価格を検索して見ると、まだ価格改定はされていないようで、RWDグレードで本体価格600万円を下回る車両は販売されていない。

これらはそうそうに値下げされることだろう。販売店によっては赤字覚悟で販売するしかないところも出てくることは容易に想像できる。つまりは、今後、モデルY、モデル3を中古車として販売、もしくは下取りに出そうとするユーザーの現車両のリセールバリューは極端に落ちることであろう。

中古車販売業者としても、もはやいつまた値下げされるかもわからないクルマを現在の販売価格と比べて買い取ることは大きなギャンブルのようなものだ。大幅に低い価格で買い取らなければビジネスとしては難しくなる。

そう。ボクが所有しているモデルYはもはや“資産”ではなく、本当に“日常の足”として乗り潰すしかなくなったのである…。ただし、モデルYの快適さ、運転の楽しさとはまた別の話。現状満足しているのには間違いないので、モデルYの現状を今後も生活者レベルでレポートしていこうと思う。

田代真人

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、朝日新聞社入社。その後、学習研究社にてファッション女性誌編集者、ダイヤモンド社にてWebマスター、雑誌編集長、書籍編集などを経て、メディア・ナレッジ設立。出版&電子出版、Webプロデューサー、PRコンサルタントとして活動後、現在は、駒沢女子大学教授、桜美林大学非常勤講師を務める。専門は「編集論」。

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