2018年06月26日 09:48

マツダ アテンザ 改良新型、クラフトマンシップでセダンの本質を磨き上げる

新型『アテンザ』は、すべての部分において大幅なアップデートが施され「マイナーチェンジ」という枠を超えた進化を果たしている。

マツダは新型を紹介するにあたり、デザインや技術の他に「クラフトマンシップ」という項目でプレゼンテーションをおこなった。

そもそもなぜ、フルモデルチェンジに近い手間をかけてまで改良したのか。商品本部の脇家満主査は、セダンやワゴンの存在感低下にたいする危機感があったと説明する。日本でもSUVシフトは進んでいるが、いっぽうで海外ブランドではセダンは堅調。「アテンザのこれからの生き様も含めて、どうにかしなければいけないという強い気持ちを持っている」と脇家氏。

「セダンやステーションワゴンでしか持ち得ない本質を見極め、アテンザがやっぱりマツダのフラッグシップだということを再確認していただくと同時に、所有したいと言ってもらえるものにしたい」という気持ちが、改良の背景にあるのだという。

その意気込みを示す一例が「クラフトマンシップ」だ。これは細部の作り込みの品質を追求し、機能を向上させることで価値を高めることを指す。プレゼンテーションでは車両実研部クラフトマンシップ開発グループの宮崎透氏が、その思想や実際の手法を説明した。

マツダでは上質さを実現するために、まず「五感の不快要素ゼロ」を目指し、次に「視覚だけでなく五感で感じる上質さの向上」を図る。そして機能の異なる部品でも同じ方向の上質さを実現して「統一感を持たせる」という3ステップで開発しているという。「単なる作り込みというだけではなくデザインとダイナミック性能、パッケージや安全といった、クルマ全体で”走る歓び”を支える性能であるべきと考えています」と宮崎氏。

その具体例としていくつものポイントが挙げられたが、その一部を紹介するとヘッドランプにシールラバーを追加する、フロントドアを開けたときに見えるAピラーとインパネのトリムの合わせを変更するなどで精緻感をアップ。各部のダイヤルスイッチの見た目と触感、操作感を統一するなどしているという。この他にインテリアで使われるLEDランプの色温度の統一、加飾のミラーへの映り込みの低減、各部の触感の向上と統一などに取り組んだとのことだ。

さらに宮崎氏は、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)についても紹介。マツダでは「安全運転をサポートする、人間中心の基本設計」を掲げ、「HEADS-UP COCKPIT」と称して新技術を新型車に織り込んでいるという。

今回は表示機能を、走行に関わる「アクティブ情報」、快適便利装備の「コミュニケーション情報」、車両の状態を示す「ステータス情報」という3種に分け、それを人間の視野特性に応じてレイアウトしたとのこと。またメーター内の液晶ディスプレイのサイズを拡大し、レイアウトも変更。インパネ中央のセンターディスプレイもGUIを改善して判読しやすさを向上させている。

いっぽう、乗り心地や快適性の向上も改良ポイントだ。「従来、操安性と乗り心地は背反するものでした。ドライバーを優先させると他の乗員の快適性が落ち、それを損なわないようにするにはドライバーに無理を強いることになる。これを両立させるべく、ブレイクスルーを果たしたいと考えて開発しました」と、操安性能開発部の山崎章史氏。

その具体例のひとつが、新設計のシートだ。脊柱がS字を描き、骨盤を立てた状態で着座させる。これによって歩行時と同じように頭部や上体のバランスを保持できるようにしたという。これでドライバー以外の乗員も人馬一体の感覚が高まるというわけだ。

またシャシーとサスペンションの関係にも踏み込んで見直しを図ったという。従来は「バネ上」に伝わる力を低減することが乗り心地向上のポイントだった。しかし今回は方向性を変更。長い時間をかけて、滑らかに力を伝えることで快適性を高めるという視点を盛り込んだと山崎氏。そしてサスペンションをしっかりストロークさせるために、ボディ側のサスペンション取付部の剛性を大きく向上させたと説明する。

さらにスプリングやダンパーにも加えるだけでなく、アテンザ専用タイヤも新開発。サイドウォールはしなやかに、トレッド面はしっかりとしたタイヤをブリヂストンと共同開発したとのこと。

乗り心地の向上には、NVH対策も重要だ。「音をの大きさを下げるという従来の対策だけでなく、時間による変化や到来方法をコントロールし、静粛性の質を高めてゆこうとしているところです」と説明するのは、NVH性能開発部の大石学氏。今回の改良におけるコンセプトは「声が透る洗練された空間」だという。

時間による変化のコントロールというのは、過渡的な変化が大きいと不快に感じるが、リニアに変化させることで不快感が減少することを指すのだとか。到来方向のコントロールとは、反射音を消し、いわば「すっきりした騒音」にすることで不快感を減らすことを指す。これらの実現のための具体的なポイントを、大石氏はいくつか提示した。まずボディのフロアとリアタイヤハウスの肉厚を増やし、車内へのノイズの侵入を大幅に低減。

またフロアマットの開口部を半減させることで遮音率を高めたり、トップシーリング(天井の内張り)の材質を変更して吸音機能を強化。こうした改良で騒音を低減するだけでなく、乗員同士の会話の明瞭度を上げることで、快適性を向上させている。

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