2019年08月05日 06:56

【ダイハツ タント 新型】約9年ぶりに復活した「ACC」は、「スマアシ3」の発展形

“スーパーハイト系”ワゴンで高い人気を維持しているダイハツ『タント』。4代目では新プラットフォーム『DNGA』を採用することで、数多くの革新的な進化を遂げることができた。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を含む先進安全支援機能もそのひとつだ。

ダイハツがACCを搭載したのは意外にも初めてではない。2010年に登場した5代目『ムーヴ』の「カスタムRS 2WD」に用意された「インテリジェントドライビング アシストパック」の中に含まれていたのだ。

レーザーレーダーで先行車を捉えて自動追従走行するもので、これはもちろん軽自動車初。その他、プリクラッシュセーフティや車線逸脱警報機能、VSCなどをパッケージ化した、まさに先進安全支援機能のいち早い搭載を実現していた。ただ、オプション価格が30万円を超えていたこともあり、装着率はあまり高くなかったようだ。

それから約9年ぶりに、この機能は新型タントで復活を遂げた。今回は予防安全機能「次世代スマートアシスト」が新たに準備され、ここには従来の「衝突警報機能」「衝突回避支援ブレーキ機能」「車線逸脱警報機能」「先行車発進お知らせ機能」「オートハイビーム」に加え、軽自動車初となる「ADB(アダプティブ ドライビングビーム)」や「車線逸脱抑制制御機能」、「標識認識機能(進入禁止)」、「ブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)」などの先進機能を搭載した。さらに、運転支援機能「スマートアシストプラス」として、「全車速追従機能付きACC」を追加。他にも「LKC(レーンキープコントロール)」や軽初の駐車支援システム「スマート パノラマ パーキングアシスト」、「サイドビューランプ」など、全15個の機能を採用した。

全車速追従機能付きACCは、40〜100km/h(メーター上は115km/h)で設定でき、先行車に追従して速度を自動的に調整するロングドライブには欠かせない機能。渋滞時でも先行車が停止すれば、そのまま停止まで速度を自動制御する。

見逃せないのは、これらの制御用センサーとして、従来のタントでも採用していたステレオカメラをそのまま採用して実現していることだ。その目的としてあったのは、「先進安全機能を多くの人に使っていただく」(車両開発本部電子技術部 電子機器開発室先行開発グループ斎藤周平副主任)ことにあったという。とかく先進機能は導入コストが高くつく。それが価格に反映されればユーザーにそっぽを向かれるのは、5代目ムーヴでイヤと言うほど体験した。そこで、新型タントでは低コストで先進安全支援を実現させることに重きが置かれたのだ。

新型タントを開発するにあたっては、できるだけ少ない視線移動で情報を読み取れることも目指した。そのため、横一列で表示するメータの視認性はかなり良好だ。ACCが制御している状況はメーター内のLCDに表示され、設定した速度も十分に読み取れる。また、後述するACC停止後の車両の動き出しではブレーキを踏むことをここで警告し、さらに進入禁止の標識も認識してここに表示する。ただ、左端に組み込まれるTFT液晶ディスプレイのように表示内容が必要に応じてサイズが変わるわけでなく、表示は定型のもの。これもコストの積み上げた上での選択だったようだ。とはいえ、LCDは輝度も十分あり、実用性として不足を感じない仕上がりと言っていいだろう。

低コストの追求は「LKC」にも及ぶ。開発コネクト本部電子技術部ASV開発室でACCの開発に携わった田中志歩氏によれば、「制御系のソフトを新規に開発したものの、EPS(電動パワーステアリング)は従来のもので対応できた」のだという。通常、ステアリングを制御させるにはそれに見合うトルクが必要となり、EPSも専用品で対応することが多い。それを新型タントでは、制御ソフトに工夫を加えることでこれを実現したというのだ。そのアシストについて同部署で主任を務める岡田大輝氏は、「アシスト量はユーザーが違和感をおぼえないレベルにしながら、しっかりと効果を発揮できるレベルにするのに苦労した」とも話す。

一方で低コストを追求するあまり、せっかくの全車速追従ACCがフルに活かせないこともある。新型タントのパーキングブレーキは従来と同じメカニカルな足踏み式を採用するにとどまったのだ。そのため、先行車に追従して停止した後はその状態は保持されず、警報と共にクルマは動き出してしまう。これは5代目ムーブで搭載された時と同じ対応だ。動き出した時はメーター内に「ブレーキを踏んで下さい」とのメッセージとアラームで警報されるが、これでは進化の痕が見られない。ライバルがEPBを相次いで採用される中、この辺りの対応も早急に望みたいところだ。

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