2020年03月01日 07:10

メルセデスベンツ、横移動が可能な未来の自動運転EV提案

メルセデスベンツは、3月にスイスで開催されるジュネーブモーターショー2020に、コンセプトカーの『ヴィジョン AVTR』(Mercedes-Benz VISION AVTR)を出展すると発表した。

◆映画『アバター』とのパートナーシップの成果

ヴィジョンAVTRは、メルセデスベンツと映画『アバター』のグローバルパートナーシップの成果として製作された自動運転EVのコンセプトカーだ。ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』は2009年に公開された。3D映像技術が話題となり、ヒットした作品だ。

ヴィジョンAVTRは、環境への負荷のない「ゼロインパクトカー」を目指している。メルセデスベンツはヴィジョンAVTRを使用して、持続可能性やデジタル化など、未来のモビリティを表現した。ヴィジョンAVTRは、人間、自然、技術が矛盾するものではなく、互いに調和するモビリティの望ましい未来を表しているという。

◆全方位に移動できる「バイオニックフラップ」

ヴィジョンAVTRの全体的なコンセプトは、エクステリア、インテリア、ユーザーエクスペリエンスの3つを、前例のないほど密接に組み合わせることだ。自然に触発された新しいデザイン言語が、ヴィジョンAVTRのエクステリアを特長づける。このエクステリアを、球形デザインのインテリアと融合させた。

ヴィジョンAVTRのリアには、全方位に移動可能なフラップ、「バイオニックフラップ」を33個装備している。33個のバイオニックフラップにより、前後に移動できるだけでなく、斜めに移動することもできる。従来の車両とは異なり、ヴィジョンAVTRはカニのように横へも移動できる。爬虫類のようなフォルムと高い敏捷性を備えているという。

ヴィジョンAVTRには、新しいユーザーエクスペリエンスコンセプトを導入した。ヴィジョンAVTRコンセプトの内部から出るデジタルニューロンにより、外部との通信を可能にしている。

◆センターコンソールに手を置くだけで直感的に車両を制御

また、手のひらに表示されるメニューにより、乗員は異なる機能を直感的に選択できる。たとえば、ドライバーは、さまざまな視点から、『アバター』に登場する架空の衛星、「パンドラ」を探索するオプションを選択できるという。

ヴィジョンAVTR のインテリアは、没入型のエクスペリエンススペースとなっており、まったく新しいユーザーエクスペリエンスを可能にしている。

ヴィジョンAVTRのさらなるハイライトが、制御ユニットだ。手動運転モードでは、センターコンソールのマルチファンクションコントロール機能により、ドライバーがセンターコンソールに手を置くだけで、直感的に車両を制御できる。

◆4モーターで最大出力476hp以上

ヴィジョンAVTRのパワートレインはEVだ。バッテリーには、リサイクル可能な原材料で作られた有機電池技術を導入する。これは、希土類と金属をまったく含まないグラフェンベースの有機電池化学で開発された新しい電池技術だ。バッテリーの原材料は堆肥化が可能なため、完全にリサイクルできる。

ヴィジョンAVTRのEVパワートレインは、4つのホイールに、高性能な電動モーターを組み込む。モーターの出力は、合計で 476hp以上を引き出す。メルセデスベンツによると、「EQ Power」の新しいベンチマークになるという。

ヴィジョンAVTRでは、インテリジェントな可変式トルク配分システムを採用する。4つのモーターを個別に制御でき、駆動ダイナミクスを効率的に引き出す。トルクベクタリングを備えた4WDシステムは、高いレベルの駆動ダイナミクスとアクティブセーフティを実現するという。

◆1回の充電での航続は最大700km以上

ヴィジョンAVTRには、大容量でコンパクト設計の高電圧バッテリーを搭載する。現在の最大1200Wh/Lのバッテリーシステムと比較して、高いエネルギー密度と、自動化された導電性充電技術による優れた高速充電性能を備えている。高エネルギーと柔軟な構造を備えた有機電池技術も採用された。

バッテリーは15分以内にフル充電できる。また、バッテリーは最小部分の大きさを94mmとし、インテリア空間を大きく取ることを可能にしている。

バッテリーの蓄電容量は、およそ110kWhと大容量だ。1回の充電で、最大700km以上の航続を実現する。コースト機能と回生ブレーキにより、高電圧バッテリーは、高い効率で充電され、システム全体の優れたエネルギー効率に貢献する。

ヴィジョンAVTRの技術は現在、基礎研究の段階にある。ヴィジョンAVTRのテクノロジーは、ラグジュアリークラスにおける持続可能なゼロエミッションモビリティに向けた重要なステップになるという。メルセデスベンツは、大型でラグジュアリーな自動車を将来、環境に適合させるために、ヴィジョンAVTRで新しい技術を提案している。

ヴィジョンAVTRでは、「ニューロ」にヒントを得たアプローチを導入する。センサー、チップ、その他のコンポーネントの電力消費を、数ワットに最小化することを目指した。電力は、ヴィジョンAVTRのリアに組み込まれたソーラープレートからも得られる設計とした。

また、ヴィジョンAVTRでは、「Vehicle to Grid」機能により、高効率バッテリーからエネルギーを住宅などに供給できる。人工知能(AI)で制御することにより、将来の電気自動車のエコシステムにシームレスに適合させられるという。

ヴィジョンAVTRは、人と自然と調和した電気自動車を目標に掲げる。化石燃料の使用を廃止することにより、100%リサイクルが可能だ。メルセデスベンツは、ヴィジョンAVTRによって、ゼロエミッションモビリティの持続可能なビジョンを提示している。

<中止> ジュネーブモーターショー2020は中止が決定(2月28日)。

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