2020年09月15日 06:11

コロナの影響はアフターマーケットにも? 始まりから未来への“リアル”を探る

新型コロナウィルス感染症の影響はカーオーディオ業界にどんな影響を及ぼしているのか。お客さんは増えている? 減っている? 商品の売れ筋や人々のマインドに何らかの変化はあったのだろうか。

そして、この先どうなっていくのだろうか。今回は、アフターマーケット業界の1つであるカーオーディオ業界に「メーカー」「インポーター(輸入代理店)」「販売店」の 3つの立場で関わっているビーウィズ(株)およびフォーカル・オーディオ・ジャパン(株)代表取締役の中島 敏晴さんにお話を伺いながら、コロナ禍におけるカーオーディオビジネスの現状と将来への展望といったことについて、ちょっと考えてみたいと思う。

◆カーオーディオのお客さんは

コロナ禍でも増えている?

中島社長には新製品やショップの取材でこれまで何度もお会いしてきましたが、今回はそのどちらでもなくアフターマーケット、その中でカーオーディオ業界全体のお話を伺いにまいりました。製品もお店も宣伝できませんが、どうかお許しを(笑)。

中島:もちろん大丈夫です(笑)。どうぞよろしくお願いいたします。

新型コロナウィルスの問題が本格化してから半年以上が経ちました。今日はフォーカル・オーディオ・ジャパン(株)さん直営のカーオーディオ専門店「フォーカル プラグ&プレイ本店<木更津アウトレット前>」にお邪魔してるんですが、こちらのお店でもやはりコロナの影響は大きかったですか?

中島:当店に限って言えば、実はほとんど影響が出ていない…というか、むしろ実際のお問い合わせや購入は増えているんですよ。プラスの影響です。

え、そうなんですか!?

中島:当社が取り引きしているカーオーディオショップ全体で見れば、やはり 3 月から 6 月あたりは外出自粛ムードでかなり落ち込んだのではないでしょうか。でも当店のお客様のほとんどはメールや電話で商談を終わらせて指定の日時にご来店いただくスタイルでしたから、他のお客様と一緒になることもないですし、当店としても殺菌や換気、スタッフの健康管理などを徹底して行っていますので、安心してご利用いただけたようです。それから、当店の主な商圏である東京や横浜など大都市特有の現象として、公共交通機関の利用を控えようという人たちが今まで以上に自家用車を利用するようになり、結果的にクルマ関連の商品への注目が高まった、というのもあるかもしれません。

価値観が変化しているということでしょうか?

中島:そうですね。在宅勤務なども広がって家族と過ごす時間が増え、マインドとしては「外」から「内」へ大きく変化しているように感じます。自家用車というのは、外へ出かけるための道具ではありますが、外界と遮断された密室空間、家族と過ごす部屋、という意味では「内」ですよね。その空間をもっと快適にしようということで、ネット検索で BEWITH/FOCAL の車種専用スピーカーキットや、独自の走行音静粛化プログラムである「調音施工」を見つけていただける方が増えているようなのです。

なるほど。従来のカーオーディオユーザーではない、新しい客層から注目されていると。

中島:はい。そもそも「フォーカル プラグ&プレイ ストア」自体、従来のカーオーディオショップには来店していただけなかったようなライトユーザー層を呼び込むことをコンセプトに始めたものですから、それがちょうど時代のニーズに合ったのではないかと考えています。実は当社と取り引きのある販売店のなかでも明暗が分かれていまして、「フォーカル プラグ&プレイ ストア」のフランチャイズ店のように新規客やライトユーザーを意識したショップはコロナ禍でもお客様が増え、逆に常連さんだけで持っているようなショップは厳しいことになっているところが多いですね。

◆ロックダウンの有無で明暗を分けた

海外のカーオーディオ市場

そうなんですね。ところで BEWITH さんは海外にも製品を輸出されていると思いますが、そちらのほうはどうでしたか?

中島:ロックダウンされた国と、されなかった国とで大きな違いがありました。ロックダウンが早めに解除された中国や台湾のマーケットは特に立ち直りが早くて、5 月あたりからは前年より好調だったほどです。ただ、メーカーの立場としては原材料などのサプライチェーンに大きな影響が出てしまい、計画していた新製品の開発が遅れたり、生産体制が需要に追いつかず品切れを起こしてしまう商品もありましたね。

いっぽうヨーロッパではコロナの影響がかなり長引いていましたが、フォーカル製品の供給のほうは大丈夫だったのですか?

中島:そちらはけっこう大変でしたね。フランスでは感染者が急増した 2 月頃から物流が滞り出し、メーカーから出荷されたはずの商品が現地の港で足止めされる状態が長く続きました。そのため国内では欠品が相次ぎまして、新製品の FLAX EVO も発表を遅らせる事態となってしまいました。その後 FLAX EVO は無事に入荷し、現在は一部を除いて正常化しています。

◆「コロナ後」のカーオーディオビジネスは

どのように変化していくのか?

さて、世の中では「コロナ後」を見据えた取り組みがいろいろと始まっているようですが、カーオーディオビジネスも変化していくことになるとお考えですか?

中島:はい。当然変わっていくものと想定しています。システムで百万円を超えるようなハイエンド・カーオーディオは我々のブランドの支柱であって、今後も大切にしていかなければならないとは考えていますが、ご存じのように超高価格帯のハイエンド機器や、取り付けに何週間もかかるようなカスタムインストレーションは世界的にも縮小傾向にあります。率直に言って、既にビジネスモデルとして成り立たなくなり始めているわけです。人々の生活様式が大きく変化した「コロナ後」の世界では所得も購入マインドも減少し、その動きがさらに加速されることは確実でしょう。従来型の、何でもやります的なカーオーディオ専門店の多くは、いずれ淘汰されてしまうかもしれません。

となると、カーオーディオビジネスはこのまま衰退してしまうのでしょうか?

中島:いえいえ、決してそんなことはないはずです。いい音を楽しみたい、愛車をもっと快適な空間にしたいというニーズは消えることがないからです。現在は、そのニーズが行き場を失っている状態なのだと考えています。従来の専門店に多く見られる、「どんなメーカーのどんな製品でも取り寄せますよ」「お好みのインストレーションで仕上げますよ」という姿勢が、逆に新しいお客様を遠ざけてしまっているのではないかなと。何をどう頼んでいいかわからないし、費用もいくら取られるかわからない…。

確かにマニアでないお客さんにとって、これまでの専門店はハードルが高いのかもしれませんね。

中島:そうしたニーズに応えようとしたのが、「トレードインのハイエンド」をコンセプトに開発したビーウィズ「BE-FITシリーズ」、フォーカル「PLUG&PLAY eliteシリーズ」の車種専用スピーカーキットと、ここ「フォーカル プラグ&プレイ ストア」というわけです。来店されるお客様の大半はカーオーディオ専門店が初めての方で、これまでの専門店で取り込めていなかった潜在的なニーズの大きさを感じています。

ただ、ここで取り扱っている車種専用スピーカーというのはメルセデスや BMW の高年式車など、比較的高額な車種に向けたものがメインですよね。お客様が限られてしまうと思うのですが…。

中島:むしろそこが狙いなんですね。車種を絞り込むことで、その車種により特化した製品開発ができます。車両の取り扱いや取り付け作業のノウハウも短期間で積み上がります。お客様にとっては安心感がありますし、インストレーションの品質も効率もどんどんアップします。もちろん対応車種は多いに越したことはないのかもしれませんが、カーオーディオ専門店という規模の中ではこれがちょうどいい。「何でも屋さん」ではなく、ターゲットとなるお客様を絞り込んで厳選した商品を販売する当店のようなスタイルも、これからの専門店のひとつのあり方なのではないかと思っています。

◆カーオーディオと縁のなかったお客様にも

確実に届いた「調音施工」のコンセプト

それから「フォーカル プラグ&プレイ ストア」と言えば、例の「調音施工」も人気ですよね。

中島:はい。ありがとうございます。実はその「調音施工」も、昨年から「BAM 施工」として試験的に販売していたものをベースに、コロナ時代にマッチする商品としてコンセプトを再構築したものです。おかげさまで、当店でも車種専用スピーカーキットを超えるほどのヒット商品になりつつあります。現状では評判のほうが先行してしまって、対応車種や販売店ネットワークの整備がちょっと追いついていないのですが、こちらも将来的に大きなビジネスになるという手応えを感じています。

こちらも新規のお客さんが中心なんですよね?

中島:そのとおりです。本当に、カーオーディオの世界とはまったく縁のなかったお客様にリーチしていることに驚いています。いわゆるデッドニングはやりたくないけれど、「調音施工」なら試してみたいという方がほとんどですね。走行騒音の低減に特化したこと、車両への負担が少ないこと、価格がリーズナブルで定額制(ショップごとの)であることなど、デッドニングとは異なる明快なコンセプトをご評価いただいているようです。それから、まだ具体的には申し上げられないのですが、実は別の大きなプロジェクトも進行中でして、商品開発や販売の人材が圧倒的に足りていないんです(笑)。

おっと、ここでまさかのリクルートの話ですか(笑)。

中島:すみません(笑)。お客様のニーズを汲みとれて、クルマを丁寧に扱えて、しっかりした接客ができるような人がいないかなーと。逆にカーオーディオの専門的な知識や経験というのは必要ないのですが…。

自動車ディーラーの人なんか適任かもしれませんね。その「大きなプロジェクト」というのがとっても気になりますが(笑)、今のビーウィズさんに転職したら、刺激的な仕事ができそうな気はしますね。

中島:小さな会社ではありますが、一緒に成長していける面白さはあると自負しています。すみません、話が脱線してしまって(笑)。

いえいえ、大丈夫です。ただ、私たちのようなカーオーディオの楽しさを紹介する立場としては、ビーウィズさんらしいスーパーハイエンドな新製品も見てみたいなと思うんですよね。そういう計画はもうないんですか?

中島:もちろん計画していますよ。少し先になってしまうのですが、BEWITH ブランドは2022年に20周年を迎えます。そこへ向けて、新しい時代にマッチしながらも、コアなサウンドマニアの方々にも喜んでいただけるような新製品を準備していきます。先にも申し上げたとおりハイエンド・カーオーディオを取り巻く環境は年々厳しくなってきていますが、皆さんに夢を見ていただけるような商品は絶やしたくないと考えています。

それは楽しみですね。大いに期待したいと思います。本日はありがとうございました。

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