2021年01月19日 13:07

【ホンダ CRF250L 試乗】ガチなオフ好きも納得! オンの扱いやすさも軽さが武器に…青木タカオ

フルモデルチェンジしたホンダ『CRF250L』は、スタイルからしてアグレッシブで見るからに軽快に走りそうだ!

ヘッドライトレンズの大きかったフロントマスクが刷新され、LED2灯式のシャープな顔立ちに。贅肉が削ぎ落とされた車体は、テールエンドまでシャープに跳ね上がり躍動感あふれるものに生まれ変わっている。

新型は4機種が設定され、従来型ではCRF250LDとしていたシート高が低いモデルがスタンダード扱いとなって『CRF250L』を名乗る。サスペンションストロークがより長く車高があるタイプには<s>が付き『CRF250L<s>』とした。今回まずは『CRF250L<s>』に乗ってみよう。

◆吸排気系を見直したエンジンを新作フレームに搭載

オン/オフを問わず様々な用途に対応するフルサイズトレールCRF250Lは、2012年に初代(MD38)が登場。翌13年にはモタード仕様の「CRF250M」が追加されている。

2017年にMD44へとマイナーチェンジがあり、排ガス規制対応のためエンジンを改良。スロットルボディやエキパイを大径化し、最高出力を23→24psとした。ウインドスクリーンなどを備え、ダカールラリーマシンのイメージを踏襲した「CRF250ラリー」もラインナップに加わり、これまでにシリーズ累計生産台数13万台を超える人気モデルとなっているのだ。

2020年12月に発売したばかりの新型(MD47)は、フレームから新作とし、水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンもインテークカムシャフトを専用化し、バルブタイミングを変更。エアクリーナーボックスやエキゾーストシステムも作り直された。

まず気になるのはシート高かもしれない。カタログ値を下記に示しておくこう。

■シート高

CRF250L:830mm

CRF250L<s>:880mm

CRF250RALLY:830mm

CRF250RALLY<s>:885mm

CRF250L<s>だと880mmと高く、オフロード車に慣れていない人は躊躇するかもしれない。跨るときには左足を地面に付けたまま右足を大きくせり上げるか、あるいは左側のステップに足を乗せてからか。取り回しを含め、小柄な人は少し手こずりそうだ。

そのために先代から車高を抑えたLDが設定され、新型も<s>との2本立てになっている。CRF250L(スタンダード)なら両足を出してもカカトが若干浮く程度で、足つき性は飛躍的に良くなる。

<s>でもシート形状がスリムに絞り込まれ、ライダーの着座によって沈み込むソフトなサス設定により、片足立ちなら指の付け根までしっかり地面に届く。トレールバイクにしては足つき性をかなり考慮したことがわかる。

<s>かスタンダードかはぱっと見ではわからないが、跨ると足つき性で気づく。もし購入するなら、両車にまたがって比較しておくことをオススメしたい。

◆軽さを武器にダートもスイスイ

サイドスタンドを払った途端に、車体が軽くなっていることがわかる。先代(CRF250L)で144kgだった車体重量は140kgとなり、マイナス4kgの軽量化を果たしているが数値以上に軽く感じる。

特にフロントまわりが軽快なのは、ボトムブリッジをアルミ鍛造製にし730g、ヘッドライトを軽量小型なLED式にしたことで110gを削減したことによる。さらにスイングアームで550g、フレーム単体では2150gも軽くなった。

開発責任者の杉山栄治さん(本田技術工業株式会社 二輪事業本部ものづくりセンター)は、「オンロードでの扱いやすさを犠牲にせず、オフロード性能を向上した」と言う。その言葉通りダートでキビキビ走り、軽さが大きな武器となっている。

ハンドリングにクセがなく、サスペンションストロークにも余裕を感じる。<s>だと前後とも260mmが確保され、最低地上高はこれまでの255mmから30mmアップした285mmに。新作フレームではエンジンを従来より20mm高い位置にマウントし、クランクケース形状も変更して最下部のドレンボルト位置を10mm上げている。

また、スタンダード(CRF250L)も従来のLDよりクッション量を伸ばし、同様にダート性能を向上している。それでいてシート高は830mmに抑えたままだ。

■サスペンションストローク

2019 CRF250LD:フロント200mm/リヤ180mm

2019 CRF250L:フロント250mm/リヤ240mm

2021 CRF250:フロント230mm/リヤ230mm

2021 CRF250<s>:フロント260mm/リヤ260mm

◆リアルオフローダーとして完成度が高い

エンジンはダートで多用する低中速域で力強さが増し、駆動力の欲しいところでしっかりスロットルワークについてくる。トップ6速をハイレシオ化し、クルージング性能を向上した一方で、1〜5速をローレシオ化。上り坂もグイグイ駆け上がり、ピックアップが良くなった。

硬すぎないシャシーもオフロードで抜群のコントロール性を発揮し、リヤが滑り出しても車体をコントロールしやすい。しなやかな足まわりとともに衝撃に対して収束性が良く、挙動が把握しやすい。

横方向だけでなく、飛んだり跳ねたり縦の動きも身軽にこなし、トレールバイクとしてのポテンシャルをかなり上げてきた。従来型に重さを感じたガチなオフロードファンもこれなら納得がいくだろう。素晴らしい完成度と言いたい。

■5つ星評価

パワーソース:★★★★

フットワーク:★★★★★

コンフォート:★★★★

足着き:★★★

オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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