2021年07月28日 11:30

【ヤマハ トリシティ125 試乗】ゆったり乗れて力強くなった、乗れば分かる「前2輪」の価値

『トリシティ125』は2014年に発売以来、都市型モビリティの新たな選択肢としてユーザー層を獲得、確固たる地位を築いている。

トリシティシリーズはLMW(リーニング・マルチ・ホイール)というコンセプトに基づいて作られている。あらためて説明するまでもないと思うが、念のために簡単におさらいしておくと、LMWとはヤマハが提唱する「傾いて曲がる3輪以上の乗り物」のこと。メリットとしては、路面状況がよくないときも安定感のある走りができて、路面の段差や横風にも強く疲れにくいなどの優れた特長がある。

2018年のモデルチェンジから、 燃焼効率の高いVVA(可変バルブ機構)搭載のBLUE COREエンジンとなり、足元スペースを拡大した新設計フレームを採用。新型サスペンションによる乗り心地の改良とともに、シート高も15mm下げて足着き性を向上させた。また、LEDヘッドランプを採用しリアまわりのデザインを一新。ユーティリティ面でも12V電源付きの小物入れやシート下トランク容量を拡大(約23.5リットル)、ECOランプ装備液晶メーターを採用するなど利便性もさらに高められている。

◆ゆったり乗れて走りも力強くなった

実際に市街地で試乗してみたが、車格も『トリシティ155』相当となりゆったり乗れるようになった。特に足元スペースが広くなったことは嬉しい。元々ステップスルーだがさらに乗り降りがしやすくなり、同時に従来モデルでややネックだったシートの高さも解消され足着きもだいぶ良くなり信号停止も楽になった。

ホイールベースも伸びて後輪サイズもワンサイズ大きく太くなってリヤサスの追従性も良くなっているため、乗り味もラグジュアリー感が増している。車格が大きくなった分エンジンも強化され、特にVVAによる低速トルクが増しているため、加速も力強さを増している。きっとタンデムもより快適になることだろう。

ハンドリングも大柄な割に軽快で、かつ落ち着きのあるフィーリングになった気がする。一方で同クラスの2輪スクーターに比べると車重がやや重く、旋回半径もやや大きめと感じた。

◆いやらしい路面でも安心して曲がれる

さて、改めてLMWのメリットを検証すべく、少し気合を入れて乗ってみた。試乗中は、コーナーを曲がったすぐ先に信号があり、車体を傾けたままブレーキをかけ始めるシーンがあった。また、交差点を右折しようとした時に、走りたいライン上にいかにも滑りそうなツルツルのマンホールが待ち構えていることも。

こうした「いやらしい道路」でも、通常の2輪に比べて圧倒的に安定感・安心感があるので、ある意味「マシン任せにできる」というメリットがある。コーナリングはもちろんのこと、曲がりながらのブレーキングでも何も考えずに思い切りブレーキをかけられるのだ。

試しに車体をバンクさせたまま前後のブレーキレバーを強く握ってみたが、ごく自然に減速・停止してくれた。ちなみにスタンダード仕様はCBS(コンビブレーキシステム)が標準装備で前後の制動力をうまく調整して最適に配分してくれるのでロックすることはまずないし、ABS仕様であれば文字どおり何も起きない。

◆通常のスクーターに極めて近い感覚

もちろん、3輪だからといって絶対に転ばないわけではないし、停止時に自立することもできない。その意味では通常のスクーターに極めて近い感覚の乗り物と言っていい。とはいえ、「どこまで傾けられるのか分からず不安」とか「いつか転びそうで怖い」など2輪に付きもののライダーの精神的負担をかなり低減してくれることはたしか。

安全にバイク(スクーター)の手軽さや機動力が欲しい、安心の中で風を切って走る快感を味わいたい、という人にはぜひ一度試していただきたいイチ押しの乗り物である。

■5つ星評価

パワーソース:★★★★

ハンドリング:★★★★

扱いやすさ:★★★★

快適性:★★★★★

オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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