【BMW G310R 試乗】この軽さや気軽さは、BMWになかった世界観だ…鈴木大五郎
BMWのバイクといえば、大型モデルが中心。というより、数年前までは中型免許で乗れるマシンの選択肢は存在しなかった。アウトバーンで磨かれた性能は、強力なエンジン、高い車体剛性といった印象が強く、ツーリングシーンでの快適性が高いマシンが多かった。
しかし、時代は変わった。イメージ通りのラインナップは健在であるけれど、それにプラスしてレーシングマシンベースのスポーツバイク、アドベンチャー、オフロードにスクーター、そして、中型免許で乗れるシンプルなネイキッドスポーツモデル。『G310R』もラインナップに備える。若いユーザーに。そして東南アジアを筆頭に、あらたなるターゲットを取り込む戦略であろう。
それまでのBMWとは比べ物にならないほどコンパクト
しかし、BMWブランドを守るという命題は大きかったのだろう。2015年のミラノショーで公開されてから、販売まではずいぶんと待たされた記憶がある。BMWらしさとも言える、オーソドックスで飽きのこないデザイン。いっぽう、水冷DOHCシングルエンジンを前後逆に搭載し、マスの集中やスイングアームのロング化等、しっかりとオリジナリティをアピールしている面も見逃せない。
跨ってみればやや腰高とも言えるが、車両が軽いのでプレッシャーは少ない。なにより、それまでのBMWとは比べ物にならないほどコンパクトである。走り始めることにやや儀式的な緊張感が必要である大型モデルとは違い、気軽に走り出せるのがこのクラスの大きなメリットである。
開け続ければさらにヒト伸びするパワー領域
クラッチミート付近の極低速域が「エンストしやすい」などと言われた初期型に比べ、現行モデルは反応がスムーズになっている。2021年モデルからはユーロ5に対応すると同時に、アクセルの開閉がライドバイワイヤ化。それにより、発進時のアイドリングアシスト機能も備え、エンストしにくい特性となっているのはビギナーのみならず嬉しいところ。
排気量から想像するよりもトルクは薄いとも言えるが、だからこその313ccという排気量を選択したのだと実感。市街地で多用する低中域は十分なトルクで交通の流れをリードできる。しかし、それでおしまいではないのがこのマシンの魅力でもある。開け続ければさらにそこからヒト伸びするパワー領域を持っている。シングルエンジンらしく、決してヒュンヒュンと回る性能ではないものの、ビッグバイクではなかなか出来ないアクセルをワイドオープンしていく感覚を楽しめる。
軽快でいながらコントロールしやすい
ワンメイクレース「G310トロフィー」のほか、本年度からは全日本ロードレース選手権JP250クラスへの参戦も可能とし、スポーツライディングへの架け橋としての存在感もいよいよ増してきた。
車体はBMWらしさともいえる剛性感が備わっている。もっとパワフルなエンジンでも問題ないと思われるバランスであるが、そこがツーリングシーンでの快適性や安心感にも繋がっている。軽快でいながら、必要以上に旋回したり、そうではなかったりといったことのないリニアさ。このニュートラルさがコントロールのしやすさに繋がっている。
従来からのBMWのイメージからすれば、G310Rは高級感であるとか、快適性といった要素は薄れていると思われるかもしれない。反面、軽さや気軽さはこれまでのBMWにはなかったもの。G310の狙った世界観は見事に表現されていたのである。
■5つ星評価
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★
鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。
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