2022年06月14日 06:00

【トライアンフ タイガー1200GT 試乗】心躍るトリプルサウンドが長旅へと誘う…佐川健太郎

トライアンフの新型『タイガー1200GT』はオンロード向けの性能を強化した最高峰アドベンチャーツアラーである。

新開発の水冷並列3気筒1160ccエンジンは新開発T-PLANEクランクの採用による不等間隔の点火サイクルの採用によりトラクション性能を向上させつつ最高出力でも9psアップの150psを実現した。オフロード向け仕様のRallyシリーズとは主に足まわりが異なり、ショーワ製セミアクティブ・サスペンションはアスファルトでの走りに最適化され、ホイールもフロント19/リア18インチのキャストタイプを装備。

また、上級モデルの「GTエクスプローラー」には大容量30リットルタンクと死角を検知する「ブラインドスポットレーダーシステム」が搭載されるなど安全性と快適性も高められている。

走りはよりパワフルに、サウンドは味わい深く

今回は、GTエクスプローラーに試乗した。シート高870mmはこのジャンルとしては低めで、スリム化された車体とさらに20mm低くなるローシートのおかげで足着きはかなり良い。Tプレーンエンジンの不等間隔の鼓動感はエモーショナルかつ滑らか。アクセルひとつで図太いトルクが巨体を押し出していく。低速域での2気筒のような鼓動感と高回転での4気筒的な伸びやかな加速の両面を併せ持つのがトライアンフ3気筒の魅力だが、新型では走りはよりパワフルに、サウンドも味わい深くなった。

従来モデルより25kg近く軽くなったとはいえ250kgを超える巨体だ。タイトな切り返しではさすがに手応えを感じるが、フロント19インチの軽量キャストホイールのおかげでハンドリング自体は素直でニュートラル。サスペンションもRallyシリーズに比べてストローク量を抑えつつダンパーを強めに効かせるなど、オンロードでの積極的な走りを楽しめるセッティングに仕上げられている。

ライダーが気付かないほど進化した電子制御

実感したのは電子制御の威力だ。ちなみに新型タイガー1200は6軸IMUにモニターされた5種類のライディングモードを搭載していて、スロットルレスポンスやABS・トラコンの介入度に加えサスペンションも自動調整することで最適な走りを実現している。所々に濡れ落葉が散る滑りやすい路面で後輪がスピンし始めたときでも、レインモードに切り替えると瞬時にトラコンが介入してスライドを収めてくれる。しかも、その挙動が滑らかでインジケーターの点滅がなければライダーは気付かないほど。

また、加速・減速での車体の姿勢変化が思ったより少なく、路面の凹凸を乗り越えたときの衝撃が少なく感じたのもセミアクティブ・サスペンションのおかげに違いない。加えて標準装着タイヤのメッツラー・Touranceもしっかりした接地感があり荒れたアスファルトでも安心だった。

新採用の「ブラインドスポットレーダーシステム」で死角を検知

コーナリングABSも心強い。濡れた路面や日陰のコーナーでフロントブレーキを少し引きずりながら進入したいときなどでも安心して減速できる。新採用のブラインド・スポット・レーダーも確認できた。狭い峠道ではバックミラー下側のインジケーターが点滅して後方からのクルマの接近を知らせてくれるなど、思っていた以上に広範囲で死角を検知してくれることも分かった。

アドベンチャーツアラーの最高峰を狙う新型タイガー1200シリーズにあってGTエクスプローラーはその称号に相応しいポテンシャルを見せつけてくれた。とりわけ、心躍るトリプルサウンドとグレード感のある走りは印象深く、長旅へと誘うのだった。

■5つ星評価

パワーソース:★★★★★

ハンドリング:★★★★

扱いやすさ:★★★★

快適性:★★★★★

オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

記事提供:レスポンス

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