2022年06月20日 10:11

【ホンダ ホーク11 試乗】「上がりのバイク」とは言わせない…丸山浩

ホンダ試乗会での技術解説と共に、この車両のコンセプトとして「上がりバイクとして選んでいただきたい1台」というフレーズが出た時、私は断固として受け入れる気持ちを持たなかった。なぜか自分に勧められているような気がしてしまうのだが、良く考えれば、今の年になって、果たして今後、何台のバイクを所有するだろうか。それでも「上がりバイク」を決めてしまうことを、私はこの先もずっと反抗し続けるだろう。

緊張感要らずでとにかく疲れない

では仮に自分にとって「上がりバイク」の条件を決めるとすると、その1、所有感がありずっと置いておきたくなるようなデザインとたたずまい。その2、大排気量とはいえ、車体の取り回しの良さは必要。その3、乗っていて疲れないポジションと足着き。そして、いつまでも付き合えるエンジンフィール、ではないだろうか。

『ホーク11』のエンジンは『アフリカツイン』と同じで、1100ccで100psちょい。決してパワーがあるわけでは無いが、ストリートを走る上でアクセルを目一杯開けるには結構大変なのである。その一方でスーパースポーツ系とは異なり、高回転よりは低中回転域をメインで使う台形パワーカーブも、このエンジンの良き特性だ。全域でパワーとトルクに余裕があるから2000rpm以上回っていればパッパッパッパッというパルス感とともにどの回転からでもついてくる。コーナーで回転を合わせなきゃといった緊張感が必要なく、いつでもアクセルを捻ればリヤにトラクションがグッと掛かり、曲がる楽しみを味わえる。そしてとにかく疲れない。

落ち着きがあり、扱いやすいキャラクター

ハンドリングも落ち着きのある運動性能だ。スーパースポーツのようにブレーキを引きずってフロントサスを縮めグイグイとインに入っていくような曲がり方ではなく、長めのホイールベースとキャスター角25度の設定もあり旋回力自体はいたって緩やか。その分、旋回中の安定感が高く、ピタッと路面に吸い付いているような気持ちよさがある。しかもバンク角はけっこうあるので、マシンはしっかりと寝る。ワインディング一つ一つのコーナーを一瞬で曲げるのではなく、寝かして曲がっている時間を長く楽しませてくれる=タイムを削るような走りではなく、速さにとらわれず思い描いたラインを走り抜ける爽快感を味わわせてくれるキャラクターなのだ。

ブレーキもしっかり効きつつ唐突さのない実に扱いやすいものだったが、エンジンのゆとりもあり、なんならブレーキを多用せずアクセルオンオフのみのワンギヤで走れる緩さまで見せてくれる。そしてこの車重の軽さもワインディングで操るうえでこの「疲れなさ」に大きく貢献している。ちなみにライディングモードは「SPORT」「STANDARD」「RAIN」「USER」の4段階があるが、「SPORT」はそこそこ元気でアクセルのツキやエンジンブレーキは強め。ホーク11らしい走りは「STANDARD」がベスト設定だった。

街中の使い勝手は、ロケットカウルに押し込んだセパハンということもあり、ハンドルの切れ角はそこそこ。Uターンや小回りは得意というわけにはいかないものの、車重の軽さ&カフェタイプにしては、高めに設定されたステアリング位置のために、取り回しや駐輪場での押し引きも含めて、やはりイージーな部類。エンジンは下から使えるから、これももちろんイージーだ。特徴的なバックミラーも見るのに慣れが必要ではあるが視界確保そのものは優秀で、しっかりと後方の様子をうかがうことができた。カフェレーサースタイルではバーエンドミラーという手もあっただろうが、横幅が増えて狭いところで面倒になることを思えば、こちらの方が使い勝手はいいかも。

高速道路ではロケットカウルの防風性能を見てみたが、風を避けようとすると自然と強めに伏せる前傾姿勢に。防風性能自体、上半身はいいものの膝まわりを中心に下半身には結構風が当たってしまう。長距離ツーリングよりもショートタイムのスポーツライディングを優先したい。

「上がりバイク」と考えずとも

さて結論を言わせてもらうと、ホーク11はしっかりと「上がりバイク」の条件を満たしていた。車体の軽さ、疲れ知らずのポジション、そして大排気量パラレルツインの魅力。デザインに関しては賛否両論、好き嫌いの分かれる所だが、ここだけは「上がりバイク」と考えずとも、もしかすると若い人にも十分受ける新しいスポーツバイクの姿なんじゃないかとも思えてくる。とにかく緊張感を伴わずにワインディングでのスポーツライディングを存分に楽しませてくれるし、アフリカツインの段階から、そのパルス感あるエンジンは峠を流すのに最高に気持ちよかったが、アドベンチャーのライディングポジションではなく、ロードスポーツとしてのかたちで乗ってみたいと思う人も多いはず。そうしたライダーたちを大いに満足させてくれるマシンに仕上がっていた。

■5つ星評価

パワーソース:★★★

フットワーク:★★★★

コンフォート:★★★★

足着き:★★★★★

オススメ度:★★★

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー

1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

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