ヤマハ ニュース

2022年08月30日 13:08

【ヤマハ MT-10 開発者に聞く】追求したのはさらなる「フラッグシップらしさ」、2つの「初」搭載機能とは

「Master of Torque」を略したMTシリーズは2014年の『MT-09』(3気筒エンジン搭載モデル)からスタートし、2017年に最高峰モデルとして『MT-10』もラインナップに加わった。

パラレルツイン270度クランクの『MT-07』も合わせ、"Torque×Agile"をコンセプトとして俊敏な走りと独創的なスタイルで人気を博するなか、1000ccスーパースポーツ『YZF-R1』譲りの並列4気筒CP4エンジンを心臓部としてMT-10が登場したから度肝を抜かされた。

もちろん「サーキット最速」を具現化する200psのハイパワーエンジンをそのまま搭載するのではなく、ストリート向けにリファインされている。荒々しいほどの“トルク感”を造り込むために、クランクを重くし、コンロッドはチタンから鉄に変更。ピストンを専用設計にするなどし、常用する3〜4000回転で強大なトルクを発揮するのだ。

従来型のMT-10に乗って感じたのは、低い回転域でノンビリ走ればドコドコと味わい深く、高回転に引っ張り上がれば伸びやかで、胸のすく加速感が堪能できるという、シーンを選ばず走って楽しいと感じる二面性。クロスプレーン型クランクシャフトならではのスキップするような不等間隔の爆発により、力強くそして心地良くもある駆動力を見事なまでに得ている。さて、新型はどうなったのか。

独占インタビュー第一弾では、開発コンセプトや、こだわりの「音」と「デザイン」について聞いた。今回の注目は、エンジン、そして注目の先進機能だ。

【インタビュー参加メンバー】

鈴木 智一朗(プロジェクトリーダー)

PF車両ユニット PF車両開発統括部

SV開発部SP設計

神崎裕也(エンジン設計プロジェクトチーフ)

パワートレインユニット プロダクト開発統括部

第2PT設計部 MC-PT設計G 

中原重徳(BD実験 プロジェクトチーフ)

PF車両ユニット PF車両開発統括部

車両実験部 プロジェクトG

松本亮

グローバルブランディング統括部

小島大

グローバルブランディング統括部

持ち味そのままに、より扱いやすく

----:新型でエンジンはどう変わりましたか?

鈴木智一朗(プロジェクトリーダー):ユーザーの声を聞くと、従来型のMT-10の評価が高く、新型を開発するのにあたって何をすべきか考えたところ、良いところを引き継ぎながら見直すことを重視しました。

神崎裕也(エンジン設計プロジェクトチーフ):MTのキャラクターを考えとき、先代の良いところは変えるべきではないと考え、新型でもクランクマスを重くする設計を引き継いでいます。その上でセッティングを詰めて、CP4エンジンならではのダイレクト感や爆発的トルクがもたらすパワー感といった利点をさらに磨きました。

鈴木:細部に渡り変更を積み重ね、実験ライダーが車両を走らせて評価し、改良を繰り返しています。

中原重徳(BD実験 プロジェクトチーフ):荒々しいトルク感をそのままに、リニアリティが一段と向上し、全域にわたるトルクの繋がりがスムーズになりました。

松本亮(グローバルブランディング統括部):サーキットでいかに速く走るかを重視するYZF-R1に対し、ストリートバイクであるMT-10ではできるだけで長い時間、楽しくなければなりません。ピークパワーのところより、楽しい時間をいかに増やすかが大切なんだと思います。

トップモデルとしての所有感を満たすために

新型『MT-10』ではピッチ・ロール・ヨー各方向の動きを検出する「3軸角速度センサー」と、前後・上下・左右の加速度を検知する「3軸加速度センサー」から構成される6軸IMUを搭載した。

シフトダウンにも対応する「クイックシフター」や、車体のバンク各を反映する「トラクションコントロールシステム」「スライドコントロールシステム」「リフトコントロールシステム」「エンジンブレーキマネージメント」「ブレーキコントロール」を織り込んでいる。

----:各種電子制御も最新式になりましたね。

鈴木:高い評価をいただいているMT-10をもっとお客様が使いやすいように、もっと楽しんでいただくにはどうすればいいのか、というところで6軸IMUなど、さらに愉しむためのアイテムとして追加していくことを考えたという背景があります。走りの領域で、電子制御を使ってもっとできることがあるなと我々も考えていました。6軸IMUはYZF-R1やMT-09に先行し搭載されていて、市場のお客様が使っている状況を鑑みると、使い勝手のところで有効であることがわかってきています。

吉武省太(EL設計プロジェクトチーフ):今回、姿勢センサーが搭載されたことで、三次元的な車体制御が可能となりました。「クイックシフター」は従来、アクセルを開けているときはシフトアップにのみ対応していましたが、新型ではシフトダウンもできるようになっています。

鈴木:たとえば、もともとスーパースポーツに乗っていたお客様が乗り換えたとき、やはりフラッグシップらしい先進装備が欲しいという声がありますし、快適に走りたいといった要望に応えるためにも電子制御の充実は欠かせませんでした。

2つの「初」搭載機能

----:YVSL(Yamaha variable speed limiter)とは?

吉武:車速制限制御といいまして、自分で任意の上限スピードを設定でき、アクセル操作の負担を軽減する機能です。

----:ヤマハ初ですよね。速度制限厳守に向けた、世界的な時代の流れみたいなものが背景にあるのでしょうか?

小島:おっしゃるとおりで、欧州ではより厳格化しています。

----:この排気量帯になると、知らぬ間にスピード超過なんてことがありますものね。欧州はスピード違反の取締は、日本の比ではないほど厳しいようですし。そして『MT-10SP』には市販二輪車への搭載が“世界初”となるオーリンズ製「スプールバルブ内蔵電子制御サスペンション」も備わった。

中原:はい。「スプールバルブ」という新機構のおかげで減衰力の変化が瞬時にでき、幅広いシーンに対応できることから、2つしかなかった減衰力を自動調整するモード(ERS)が3つになりました。よりスポーツライディングに対応できるモードと、コンフォート寄りのモードをつくることができ、路面の荒れたところで設定してもらえれば、先代との違いがはっきりわかると思います。

----:ほほぉ、俄然MT-10SPにも興味がわきました。乗る日が待ち遠しいです!

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