【ホンダ ホーク11 vs ヤマハ XSR900】最後は見た目で決めるしかない!? 話題のネオクラ2台を徹底比較
2022年に登場し話題を集めた新型ネオクラシックモデルが、ホンダ『ホーク11』とヤマハ『XSR900』だ。その2台をモーターサイクルジャーナリストの伊丹孝裕と、モデルやタレントとして活躍する大関さおりが試乗し徹底比較。ネオクラ×大排気量というくくりで見れば共通性のあるように見える両車だが、はたしてその違いとは。
◆「アラフィフ狙い撃ち」の2台、若い世代には刺さるのか?
伊丹孝裕(以下、伊丹):2022年6月にヤマハからXSR900が、そして9月にホンダからホーク11が発売されました。それぞれ方向性は違っていても僕ら世代、つまりアラフィフが狙い撃ちされているのは明らか。若い世代から見るとどうなんでしょう?
大関さおり(以下、大関):ホーク11は確かに大人の雰囲気がありますが、XSR900は20代や30代にも幅広くウケそうですね。それぞれにちゃんと個性があって、どちらもかっこいい、と素直に思いました。
伊丹:個性という意味では、ホーク11がアリなのか、ナシなのかは結構話題になりました。好き嫌いの差がはっきりと出て、ホンダもそれを承知の上で発売。最初から万人ウケしようとしていない割り切りが印象的でした。
大関:「私ならこうしてほしい」っていう部分と、扱いやすくてフレンドリーなホンダらしい部分がミックスされていて、おもしろいです。ミラーの視認性はあれなのに、メーターはすごく見やすいとか、見た目は曲がらなそうなのに、コーナリングはとっても素直とか、ギャップを楽しめるバイクですね。
伊丹:ロケットカウルの外側と内側とかも気になる?
大関:そう!外側はあんなにツルンとしていてきれいなのに、内側は素材の地肌がむき出し。最初は全然気にしていなかったんですけど、常に目に入る部分ですよね。だから、教えてもらってからは内側もツルツルだったらなぁって思いながら乗ってました。
伊丹:いかにもFRPっていう仕上がりが、一定の層にはグッときます。ワンオフのカスタム感とかレーサー感が強く感じられるからなんだけど、普通の感覚だと途中で組み付けちゃったのかって思うよね。実は僕らのような世代でも微妙なところ。量産市販車の新車で、それなりの価格がするものだから、できれば美しくあってほしい。
◆さりげない工夫で「レーシングマシン」感を出してきたXSR900
大関:その点、XSR900はどこもきれいな仕上がりですね。
伊丹:XSR900は一見ネイキッドだけど、80年代のGPマシンがオマージュされています。ものすごく細かい部分で言えば、シート表皮と燃料タンクの間に数センチのすき間があったでしょ?たったあれだけのことで、シートとシートカウルが一体型のまま、ガポッと簡単に脱着できるレーシングカウルに見えるからおもしろい。しかもクイックファスナーが付いているから、なおさら。あの頃、ヤマハは『YZR500』っていうレーシングマシンを走らせていて、そのフレームや燃料タンクの造形、車体姿勢のエッセンスなんかがXSR900にはさりげなく盛り込まれていて……(アラフィフの80年代話は長くなるので割愛)
大関:……うーん、よく分かりませんが、きっとそうなんですね(笑)でも、確かにタンデムシートやタンデムステップも付いているとはいえ、実用性よりデザイン性重視でいいですね。私、自分のバイク(CBR650R)にはシングルシートカウルを付けているのですが、XSR900には最初からスポーティな雰囲気があります。
◆ライディングの自由度ではホーク11に分がある
伊丹:一方、ホーク11のシートはどうでしょう?
大関:ロケットカウルのデザインとバランスさせるために、なんかこう、もうちょっと尖った雰囲気を出したいところですが……うーん、どうしたらいいのか、よく分かりません(笑)あ、でもまたがって自然なのは、ホーク11の方。乗り心地もよく、セパレートハンドルやステップとの位置関係も見た目よりずっと穏やかです。
伊丹:ライディングポジションはXSR900の方が楽ですよね?
大関:そうですね。ただ、ハンドルの幅や高さに対するシートの位置関係なのか、どこに座ればいいのか、ちょっととまどいました。シートスポンジも薄く、自由度という意味ではホーク11に分があるように思います。
◆免許取り立てなら「ホーク11」、経験を積んだら「XSR900」。どっちも一長一短?
伊丹:ホーク11は1082ccの2気筒、XSR900は888ccの3気筒。排気量もエンジン形式もまったく違いますね。
大関:ホーク11は安心感が高いです。速度が落ちても、回転が低くなってもわりと無頓着に扱えて、渋滞路でもスムーズに走れます。XSR900に限らず、3気筒って音質がザラついてるじゃないですか。それが結構攻撃的なので、充分トルクはあるはずなのに、エンストするんじゃないかっていう心配がありました。だから、免許取り立てのライダーに無条件に薦められるのは、ホーク11。少しキャリアを積んで、刺激を刺激として感じられるようになったら、XSR900が楽しめるでしょうね。
伊丹:なるほど。いいアドバイスだと思います。それぞれ単体で乗っていると気にならないけれど、軽さは圧倒的にXSR900でしたね。車重はホーク11が214kg、XSR900が193kgなので、この21kg差は大きい。
大関:ホーク11は車体を立てる時もそうですし、ハンドルが低くて切れ角も制限されるので、取り回しの時も手応えがありました。その点、XSR900は楽ですね。停車する時に、ステップの前に足を出しても後ろに出しても当たりやすいのが少し気になりましたけど、走り出すとハンドリングそのものも軽やかです。
伊丹:XSR900は、バンク角が浅い領域でヒラヒラと動いてくれるから、ビッグバイクであることをまったく意識しないで走れます。対するホーク11は、フロントにしっかり荷重を掛けるようなスポーティな走りをした時に本領を発揮。たとえば、キャリアのある大人が週末のひと時をワインディングで楽しんで帰ってくる。そんなコンセプト通りの乗り味になっています。
大関:と言いつつ、ホーク11の穏やかさはスキルや年齢を問わず、薦められますし、XSR900の軽快感は大きな魅力。デザイン的に、かっこいいと思った方を選んで失敗はないと思います。私のバイク選びの基準は、足つきと軽さ。あと、現実的な問題として燃費も結構重要。これはレギュラーか、ハイオクかも含めてです。その基準に照らし合わせると、足つきは同等、軽さはXSR900、燃費はわずかながらホーク11で、しかもこっちはレギュラーが指定。結局のところ、どちら目線に立っても一長一短があり、見た目で悩むしかないですね。
伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。
大関さおり|愛称 さおりん
初めて見に行った二輪レースでバイクに一目惚れ!大型二輪免許を取得。MotoGP・鈴鹿8耐・全日本レースクィーンを経験し、現在は各種メディア出演やMCとして活躍。さらにボクシングプロライセンスを持つ異色の経歴の持ち主。愛車はCBR650Rでディズニーが大好きなバイクタレント。Instagram:@saoriozeki
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