復活のホンダ『トランザルプ』、開発当初のコンセプトは「オフロード寄りの750cc版CRF」だった…東京モーターサイクルショー2023
1987年3月、国内市場において「TRANSALP/トランザルプ」の名を冠した初のモデル『トランザルプ600V』が300台限定で販売される。その後、国内免許制度に合せた400cc版が導入され人気を博した。
オンロード/オフロードを問わないマルチパーパスの先駆け的モデルとしてトランザルプは欧州市場においても多くのユーザーを魅了。今回は新型『XL750 トランザルプ』の開発責任者である佐藤方哉さんと、電装設計と担当した手塚康瑛さんに話を聞いた。
◆開発当初のコンセプトは、オフロード寄りの750cc版「CRFシリーズ」だった
「『アフリカツイン』は人気モデルですが、大きくて(1100cc)、重い(229〜250kg)、価格も高い(163万9000円〜)。よって、そうした課題をクリアするミドルクラスの新世代アドベンチャーを作りたかった。でも最初の開発コンセプトは、もっとオフロード寄りの性能に仕立てた「CRFシリーズ」の750cc版でした。しかし、それだとアフリカツインと同じく性能重視になってしまう……。そこで方針を変更し、もう少しオンロード寄りのバイク、ならばトランザルプの復活をしよう!という話になりました」と佐藤さん。
いわば初代トランザルプの現代版の新型だが、性能面で特筆すべきところはどこなのか。
「V型エンジンを使えないので新規で並列2気筒を開発しました。退屈な性能だと思われがちですが、輸出仕様のスポーツモデル『CB750 ホーネット』にも搭載している超ショートストローク型エンジンでパワフル。1万rpm近くまで引っ張れます」
XL750 トランザルプの乗車姿勢はかなりアップライトなポジションだが、それに見合う、ゆったりとした走りも楽しめるのだろうか。
「ショートストローク型ながら下から上までフラットトルクで、もちろん高回転まで出力が持続します。当然、ゆったり走って頂いてもご満足頂けるはずです」
二輪/四輪問わず内燃機関には厳しい騒音/排出ガス規制が課されるなか、どのようにしてエモーショナルなエンジンに仕上げたのか。
「燃焼効率を極限まで上げた、これに尽きます。ホンダにはロングストローク型の並列2気筒750ccがありますが、それとは180度、性格が違います。ともかく多くの方々に乗って頂きたいです」
じつは佐藤さん、ホンダの誇るスーパースポーツモデル「CBR1000RR」(2017年モデル)の開発責任者でもあった。それだけに、エンジンパワーはおろか車両全体のまとまりや、走行性能には一切の妥協はせず……、となったのか。
「はい! でもCBR1000RRのようにチタンタンク(SP / SP2に採用)とか、アルミ素材をふんだんに使った軽量化は難しく、コスト面でもCBRほど潤沢に掛けられません。しかし、知恵と工夫で車両重量は208kg、純正装着のキャリアを取り外せば205kgと軽量化を達成。車両価格も126万5000円に抑えました」
◆見た目よし、価格よし、アシストよし
XL750 トランザルプの魅力的な商品性は、様々な電子制御技術にも支えられている。
「上級車種のセンサー類を採用し、発電機にも最新の設計を取り込んでいます。走行モード切替機能(『ホーク11』と同等)の付いたスロッルバイワイヤーも採用しました。クイックシフターも純正アクセサリーとしてご用意しています。クイックシフターのセッティングにはかなり時間を掛けており、ほぼすべての回転領域でクラッチ操作なくシフトチェンジが可能です。アシストスリッパークラッチも採用しており、先行で行なった欧州での試乗会ではパーフェクトという評価を頂きました!」と語るのは電装設計と担当した手塚康瑛さんだ。
いろんな意味でオールラウンダーでありたい。その願いから5.0インチのフルカラーTFTメーター、USBチャージャーのほか、スマートフォンとの連携が図れるHondaスマートフォン・ボイスコントロール・システムなどを採用した。
「電装部品はコストをかければそれだけ装備に反映できます。その点、新型トランザルプは126万5000円で全部入りです。ここもご評価頂きたいです」と満面の笑みをこぼす。
見た目よし、価格よし、アシストよしと良いこと尽くしのトランザルプ。30〜40代のベテランライダーや、大型アドベンチャーモデルの取り回しに辛さを覚える熟練ライダーにうってつけの一台となりそうだ。
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