2018年10月22日 14:25

【モトグッツィ V7 III ミラノ 試乗】オシャレだけじゃない正統派イタリアンスポーツ

今夏、日本への出荷がスタートしたモトグッツィのニューモデル『V7 III Milano(ブイセブン・スリー・ミラノ)』に乗ってみた。

モトグッツィ。イタリアの名門ブランドであることは、バイクファンになら浸透しているはずだろう。ただし、現行ラインナップがどんなふうになっているのか、イマイチわからないという人は少なくないはずだ。

◆中核を担うV7 IIIシリーズ

まず、この“ミラノ”が属する排気量744cc(ボア80mm×ストローク74mm)の「V7 III」シリーズと、853cc(84mm×77mm)の「V9」シリーズが主軸としてあり、さらに1380cc(104mm×81.2mm)の『California1400 Custom(カリフォルニア 1400 カスタム)』という布陣。いずれもグッツィお馴染みの縦置き90度Vツインを心臓部とするが、V7とV9は空冷OHV2バルブ、カリフォルニアは空油冷SOHC4バルブという違いが排気量の他にもある。

V7シリーズは1967年に初代『V7 SPORT』(700cc)が誕生して以来、グッツィを代表する系譜だが、現行モデルに直結するモデルは2007年のEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)にて初披露され、日本には翌08年に『V7 Classic』が上陸を果たしている。

それまで販売されていた『ブレヴァV750』用のエンジンをベースにリファインしたもので、15年にはミッションを5→6速化して「V7 II」に。17年に環境規制EURO4対応となり、このとき最高出力を48→52馬力に向上した「V7 III」へと進化し、現在に至っている。

◆都市型ライダーが休日を満喫するのに最適

さて、話しを『V7 III Milano』に戻そう。跨ってエンジンを始動すれば、モトグッツィに慣れていないライダーなら、なにもかもが独特すぎて最初は少し戸惑うかもしれない。視線を降ろせば、エラの張った燃料タンクの両側にシリンダーヘッドが突き出ていて、エンジンをブルンと吹かせば車体が右側に傾こうとする。どのメーカーの製品も似たり寄ったりなこのご時世に、なんせクセが強いのだ。

右へ傾こうとするクセは、クランクシャフトの回転によるリアクションで、通常の正回転クランク横置きエンジンなら車体はアクセルを開けるとウイリー方向に、逆回転クランク(現代のMotoGPレーサーなど)ならジャックナイフ方向にリアクションする。

クランク縦置きエンジンのモトグッツィの場合は、左方向にクランクシャフトがまわっていて、アクセルを開けると右にリアクションを起こす。左折では車体が起き上がろうとするし、右折ではより深く寝ようとするクセがあり、これもまた面白い。

ただし、それは極低速域でのみ感じられ、スピードが乗ってくるとクランク縦置きならではの前後方向へのジャイロ効果が発生し、高い安定性を直線でもコーナーでも発揮する。3000回転くらいまではバイブレーションを伴って、小気味良く軽やかに回っていたエンジンも回転を上げるにつれて振動が収束され、4000回転まで達した頃にはスーッと加速していくジェントルなエンジンフィーリングが味わえる。

イタリア気質なのだろう、高速巡航も得意だし、コーナーも軽やか。カーブの進入時に見せる寝かし込みやすさはスポーツライディングへの意欲をかき立てるもので、間違いなくワインディングがエキサイティングなものとなる。

◆スタイリッシュさだけでなく、軽快な走りも魅力

そのクラシカルなスタイルの中に、2チャンネルのABSやMGCT(モトグッツィ・トラクション・コントロール)システムといった電子制御装置を搭載し、トラコンは介入レベルを2段階に調整可能。欧州によく見られる石畳の路面に対応したのだろう、駆動輪で起きる加速時の空転を抑え、これは雨の多い日本でも恩恵は大きい。濡れていたり、荒れた舗装路でも不安なくアクセルを開けられ、ツーリング時には疲労軽減にもつながる。

オシャレなスタイリングから、ストリートを流すだけで満足しそうになってしまいがちだが、高速道路を利用して移動し、ワインディングを堪能する都市型ライダーの休日にピッタリで、決して街乗りだけで終わらせてはいけないバイクだ。

■5つ星評価

パワーソース:★★★★

フットワーク:★★★★

コンフォート:★★★★

足着き:★★★

オススメ度:★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある

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