2019年02月13日 06:46

大人に刺さる“ネオクラ”カスタム、ヤマハ YZF-R25 があの伝説のマシンに変身

いま、モーターサイクルの世界でムーブメントを起こしているのが「ネオクラシック」と呼ばれるジャンルだ。現代のメカニズムをスクランブラーやカフェレーサーといった懐古調のスタイリングで包んだマシンのことである。

現在大ヒット中のカワサキ『Z900RS』をはじめ、ヤマハ『XSR900』、ホンダ『CB1000R』、スズキ『SV650X』、BMW『R9T』、ドゥカティ『スクランブラー』等々、いまや多くの二輪メーカーがこのネオクラシック調のスタイリングを採用した新型車をラインナップしており、人気を集めている。

◆レプリカではなく、あくまで現代のテイストで当時の“雰囲気“を再現

東京都東久留米市のモーターサイクルショップ「ナインゲート」がカスタムしたヤマハ『YZF-R25』はそんなネオクラシックの世界観をエントリークラスの250ccで表現した一台である。

YZF-R25はどちらかと言えば若者に人気のモデルだが、このカスタム車は外装パーツを一新することで、40代から上の世代に“刺さる”マシンへと生まれ変わっている。ナインゲート代表の細井啓介氏に製作の経緯やこだわり、苦労について聞いた。

「年齢を重ね、経済的に余裕が出てくると若い頃に買えなかったバイクが欲しくなるじゃないですか。でも、実際に30年前、40年前、旧車を維持していくのってやっぱり簡単ではないんですよ。好調を維持するためにはそれなりに手間とお金が掛かりますし、部品の入手も困難だったりする。おまけにパフォーマンス的にも現代の基準では満足できなかったりしますから。そんな諸々で嫌になってしまうケースも多いんですね。このR25はそんな旧車のテイストをもっと気軽に楽しみたいというオーナーの要望が出発点です。そこそこ速くて、扱いやすく、手もかからないけれど、ルックスは昔の憧れを投影できるマシンというコンセプトですね。70年代のレーサーを彷彿とさせるアッパーカウルやシートカウル、アンダーカウル、タンクカバーはアメリカのパーツメーカー『GG Retorofitz』社から発売されているもので、いわゆる『インターカラー』にペイントしました」

80年代バイクブームに青春時代を過ごしたライダーには説明不要かもしれない。このインターカラーは“キング”こと、ケニー・ロバーツが78年から3年連続で世界GPチャンピオンを獲得したワークスマシン「YZR500」(OW35K、OW45、OW48/48R)をモチーフにしたものである。

華やかなイエローとブラックをベースに「チェーンブロック」と呼ばれる独特のグラフィックを配したカラーリングは、ヤマハのレーシングマシンの象徴として、いまも多くのライダーの脳裏に刻まれている。

「モチーフにしたYZR500はレーサーなので保安部品が付いていないんです。だからライトやウインカーなどの灯火類は極力目立たないようフィッティングさせました。ここが目立ってしまうと一気に『街乗り』感が強くなってしまうので」

YZR500そっくりなレプリカを作るのではなく、あくまで現代のテイストで当時の“雰囲気“を再現するのにこだわったという。手本となる車両がないだけに、全体を調和させるデザイン的な作業も必要になるが、ご覧の通りどこにも違和感のない見事な完成度。オーナーと細井さんのセンスに脱帽するしかない。

◆マルケジーニ、ブレンボ、オーリンズ…各所に一流ブランドを

「塗装作業は外部のペインターさんに依頼しましたが、ブロックの尺やサイズを決めるのにかなり苦労したみたいですね。そもそもマシンの形状や大きさがYZR500とR25ではまったく異なるので、同じように見せるにはアレンジが必要不可欠なんです。コミュニケーションプラザに展示されている実車を観察したり、資料の写真を拡大し、ブロックの間隔をノギスで測ったりしながら再現したそうです」

日常的な扱いやすさを失わないようあえてエンジンのチューニングは行わず、基本的にボルトオンパーツのみでカスタマイズされているという。ただし、マルケジーニのホイールやブレンボのブレーキキャリパー、オーリンズのショックなど、各部には一流ブランドのパーツが奢られ、250ccでありながら大人が乗るにふさわしい貫禄が与えられている。

少しだ試乗した印象は、まさにコンセプト通り。基本的にはノーマルのYZF-R25とほとんど同じ感覚。大型バイクのようにスタートダッシュからガツンとくる加速感は望めないが、エンジンを高回転まで回す爽快感を市街地でも味わえる。これはこれでとても面白い。

カウルと干渉しないようセパレートハンドルの垂れ角を増し、ステップ位置もやや後方に移動されているものの、ポジションは意外とアップライト。これならツーリングだって難なくこなせるだろう。

一方で、注目度はケタ違いだ。すれ違った何人かのライダーはいずれもこの伝説のカラーリングをまとった正体不明の“旧車”に射るような視線を送ってくれた。もちろん、悪い気はしなかった。

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