2019年06月04日 13:10

【ヤマハ テネレ700 新型試乗】まさにダカールのDNA。この体躯、チャレンジしがいあり…松井勉

ついにこの日が来た。『Tenere700』(以下、テネレ)に乗れるのだ。大型主義のアドベンチャーバイクセグメントに、ミドルクラスならでは、の軽さと現代のダカールマシンのようなルックスでスポーツマインドを持ち込む世界が注目の一台。いったいどんな乗り味なのか。

◆その名にも表れる、ダカール由来のDNA

テストの舞台はスペイン。バルセロナから車で2時間ほどの距離にあるトルトサ。古城を改築したホテルにテネレは待っていた。ネイキッドモデル、『MT-07』と同じプロダクトリーダーが手がけたテネレ。曰く、CP2と呼ばれる並列2気筒、270度位相クランクを搭載したエンジンを仕上げた時、テネレの構想が走り出したそうだ。コンパクトでエンジン特性がとても上質。これならダートもイケル、と。テネレに合わせてエンジンは低中速トルクをより生み出す仕様としたほか、ファイナルレシオもショート化された。

また、エンジン特性やギアレシオ、車体特性をダートライディングが楽しめるよう煮詰めることで、トラクションコントロールを搭載することなく、コントローラビリティーを確立したという。ABSもダートではカットできる。また、エンジン下部にはアルミ製のスキッドプレートを配置し、ブレーキ、チェンジの両ペダルは転倒タフネスの高い折りたたみ式。シートも前後分割ながらオフ車のようなフラットな座面にしてライダーの動きを阻害しない。

なにより、LED4灯が作るフェイスがヤマハファクトリーのダカールレーサーを思わせる。ダカール由来のDNAを外さない。名前の由来、テネレ砂漠はサハラ砂漠の中でも主要な位置を占める砂漠であり、パリ〜ダカールラリー時代の主戦場。さらにヨーロッパから遙か遠く冒険の旅に向かう先だったから、挑戦の道的な思いを喚起させるのだ。

◆見た目から想像できないほどの低重心

テネレに跨がる。880mmというシート高は低くはないが車体がスリムだから足つき感は悪くない。サイドスタンドから起こすと時、見た目から想像できないほど低重心で軽くバイクが起きた。最初からとっても良い予感だ。LCDモニターのメーターは見やすく機能的に配置され、どこかラリーバイクを思わせる。

ハンドルバーは今やオフ車ではテーパーチューブタイプだ。このあたりからもスポーツマインドがあふれる。なにより、オフ車そのもの、というテールセクションの細さが魅力。これは新しい。

エンジンは鼓動感がありつつ不快な振動がない700ccツイン。ミッドクラスならではの軽快さがある。低い回転からトルクがわかりやすい。ローギアードになっているから発進も力強いしイージーだ。市街地では前21インチ、後18インチというホイールサイズから想像するおもったるさがない。いや、むしろ軽快。前後のブレーキも初期の突発さがなく扱いやすい。全体にすごくいいバランスをもってチューニングされたのが解る。

◆この体躯、チャレンジしがいあり

郊外に出てペースが上がる。スペインの一般道は郊外では100km/h程度で流れるが、その時の前後のサスペンションの吸収性が良い。時にフロントが硬く感じる場面もあるが、右に左に旋回が続き、荷重がかかる場面では頼りになる。エンジンも4000〜6000回転あたりにとどめてアクセルで加速力を調整するような乗り方が最高に楽しいし、音もスイート。

そのままワインディングに入っても、身のこなしは抜群に楽しい。シフト操作も履いていたオフ系ツーリングブーツが持つ厚手のソールでもしっかりストローク感が解る。オンロードセクションは速度や道の状況に違わず一体感が楽しい。

そしてテストルートはダートへ。スタンディングポジションで走るとまたの下にあるのがもっと小ぶりなバイクに思えるほど一体感がある。軽快だ。前後サスのバランスは少しだけフロントがハードだが、慣れると自信を持ってコントロールに没頭できる。まるでトレールバイク。新鮮だ。ハードに攻めるとガチンとフルストロークもするが、なるほど、エンジン特性はレスポンスが良いが車体全体ではマイルドな挙動変化でライダーをサポートする。

この体躯、チャレンジしがいあり。これは日本上陸が楽しみだ。今年暮れ、もしくは来年春だと予想するが、多くのオプションで好みに仕立てられるテネレ700。今から待ち遠しい。

■5つ星評価

パワーソース:★★★★

ハンドリング:★★★★

扱いやすさ:★★★★

快適性:★★★

オススメ度:★★★★★

松井 勉|フリーランスモーターサイクルジャーナリスト

高校3年になる春休みに中型限定を取得。二十歳の時、大型自動二輪免許である限定解除試験をパス。空冷4発のリッターバイクと暮らし、そして別れ、オフロードに没頭。4時間エンデューロでオフロードレースの産湯をつかり、数々もまれながら雑誌の取材で海外のオフロードレースへ、バハ1000、ダカールラリーにも参加。数々のインプレッション取材でバイク知識の礎を築き現在へ。

記事提供:レスポンス

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