2020年07月13日 09:15

【ヤマハ TMAX560 & XMAX 比較試乗】便利なだけのスクーターとは一味違う!その実力とは…青木タカオ

ヤマハ・スポーツバイクのDNAを受け継ぐコミューターが「MAXシリーズ」。軽快なハンドリングや上質感あふれる走りにこだわり、スポーツマインドをくすぐる性能を追求。便利なだけのスクーターとは、一線を画している。

そのフラッグシップモデルが、2001年に初代が登場し「オートマチックスポーツ」というジャンルを築いた『TMAX』だ。2020年5月には、530ccだった直列2気筒エンジンを561ccにスケールアップし、『TMAX560』へとさらなる進化を果たした。

上級機種として『TMAX560 TECH MAX』も登場。クルーズコントロールをはじめ、電動調整式ウインドスクリーン、グリップウォーマー、シートヒーター、調整機能付きリアサスペンションを装備している。

そして、その直弟となるのが『XMAX』。300ccモデルがヨーロッパで先行販売されていたが、2016年秋のインドネシア・モーターサイクルショーで『XMAX250』を発表すると、18年に『XMAX』として日本国内でもデビュー。国内ラインナップでは、1995年に発売されビッグスクーターブームの火付け役となった『マジェスティ』が2016年に生産終了となっていただけに、まさに待望の250ccスクーターであった。

現行ラインナップでは『TMAX560 TECH MAX』&『TMAX560』の長兄コンビに、軽二輪枠250ccの『XMAX』と『NMAX155』があり、さらに原付2種に『NMAX』(125cc)という強力な布陣をヤマハは敷いている。今回は「MAXシリーズ」の兄貴分たちにあたる『TMAX560 TECH MAX』と『XMAX』を乗り比べてみよう。

◆眼光鋭いエッジの効いた共通デザインを持つMAXシリーズ

眼光鋭く精悍な表情の両車は、エッジの効いた共通デザインで、初めて見る人にも兄弟車であることがわかるだろう。LEDヘッドライトは『TMAX560』は4灯、『XMAX』ではロービーム2灯に中央のハイビームを加え、全3灯となっている。

リアビューを刷新した『TMAX560』では、“T”をモチーフとしたLEDテール&ストップライトを採用。前後ともに“X”をモチーフとしたデザインをあしらった『XMAX』は、レンズ面が大きく、フロント同様に吊り目となり、それぞれで個性を主張した。

『TMAX560』は見た目からして大きく、威圧感もすごい。『XMAX』も車格は立派で堂々としているが、『TMAX560』になるともう印象は大型モーターサイクルと変わらない、駐車スペースも同様のことが言えるだろう。ただし公表値を調べると、全長はわずかに15mm、ホイールベースも35mmしか差がない。車重やボリューム感ははっきり異なるものの、意外にも車体寸法はさほど変わらないことがわかる。

■TMAX560/TECH MAX

全長2,200mm×全幅765mm×全高1,420mm、軸間距離1,575mm、車両重量218/220kg

■XMAX

全長2,185mm×全幅775mm×全高1,415mm、軸間距離1,540mm、車両重量179kg

免許も大型二輪ATとなり、跨ったときの雰囲気も大排気量スポーツバイクのような『TMAX560』。シート高は800mmで、足つき性は決して良くない。身長175cmの筆者、跨ったときに油断はできない。『XMAX』もシート高は795mmと5mmしか変わらないが、車重が軽いせいかかなりイージーな印象。サイドスタンドを払って車体を引き起こすときも、『XMAX』は手応えが軽く、押し引きも容易い。

いずれもスマートキーシステムを採用し、利便性に優れる。右にタコメーター、左に速度計を配置したマルチファンクションディスプレイ装備のメーターパネルは共通イメージだが、『TMAX560』はさらなる上質感があり、オーナーの所有欲を満たしてくれそうだ。

◆XMAXで充分だが、極上の極みがTMAXにはある

市街地を流すと、『XMAX』の俊敏性が際立つ。アルミ鍛造ピストンを採用する水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンはスムーズに回り、全域で充分に力強い。ゼロ発進もシャープに立ち上がるし、中間加速でもたつくこともなく、動力性能に不満はない。

インナーチューブ径33mmの正立フォークも路面追従性に優れ、フロント15/リヤ14インチの足まわりが剛性のしっかりとある車体とマッチし、乗り心地も良好。ブレーキを強くかけたり、大きな段差を乗り上げても、サスはしっかりと踏ん張ってくれる。TCS(トラクション・コントロール・システム)も搭載し、滑りやすい路面や雨天時の走行で不安を和らげてくれるのも、ありがたい。

倍以上の排気量を持つ『TMAX560』の水冷DOHC4バルブ直列2気筒エンジンは、言うまでもなくよりパワフルだ。D-MODE(走行モード切替システム)をSモードに設定すると、スロットル操作に対しリニアにパワーを発揮し、強烈なダッシュが味わえる。『XMAX』の加速も鋭いが、こちらのダッシュは強烈すぎるほどでケタ違いと言っていい。

エンジン560cc化に伴い、変速特性をハイギヤード化していることも見逃せない。エンジン回転数が抑えられ、余裕ある走行フィーリングを獲得。コンフォート性を向上し、ライドフィールをより上質なものにした。

軽量アルミ製ダイキャストフレームも剛性がしっかりとあり、41mm倒立フォークとロングリアアーム+モノチューブ式(ガス型)ショックの前後サスペンションが、もっとハイスピードレンジで走ろうと誘ってくる。高速道路でも安定し落ち着いたクルージング性能を発揮し、街乗りだけではもったいない。

郊外へのツーリングでこそ実力を発揮し、コーナーでは狙ったラインを外さない軽快なハンドリングと接地感が味わえる。ワインディングもエキサイティングで、大型スポーツバイクにも遅れはとらないだろう。

『XMAX』も巡航力は高く、クラスを超えたウインドプロテクションやコンフォート性で100km/hクルージングは難なくこなす。『TMAX560 TECH MAX』はクルーズコントロールシステムも装備し、ロングツーリングも快適。スイッチひとつでウインドスクリーンを上下動できるのは、TECH MAXならでは。ヒーター類も充実し、冬季に威力を発揮してくれる。

■ウインドスクリーン

TMAX560 TECH MAX:電動調整式スクリーン(135mm幅)

TMAX560:2段階調整式(55mm差)

XMAX:約50mm移動可能

◆オールマイティなXMAX、突き抜けたTMAX

ラゲッジスペースも気になるところ。『XMAX』はフロントトランクを左右に設置し、左側はスマートフォンなどの充電に便利な12VのDCジャックを備え、ロック付きとした。シート下トランクは『XMAX』の方が広く、約45リットルもの容量を確保している。

ユーティリティに優れ、走りもスタイルもスポーティな『XMAX』に死角は見つからないが、『TMAX560 TECH MAX』のプレミアム感や「オートマチックスポーツ」としての完成度の高さを知ってしまうと、最高峰モデルへ憧憬の念を抱くのも頷ける。それは最高の味を求め、和牛A5ランクを選ぶような贅沢なことかもしれない。

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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