2020年07月22日 06:15

ドゥカティのスーパーバイク『スーパーレッジェーラV4』を丸山浩が解説「超軽量の名は伊達じゃない」

◆現行MotoGPマシンより高性能なウイングレット

世界限定500台、車両価格1195万円の超プレミアムスーパースポーツ、ドゥカティ『スーパーレッジェーラV4』は、同メーカーの旗艦『パニガーレV4』をベースに出力アップ、そのうえ規格外の装備がてんこ盛りなマシンだ。

例えば、当社比2倍以上でバイプレーンなウイングレットは、MotoGPで規制される前の最も効力を発揮していたサイズとフォルムなんだそうな。つまりワークスの現行デスモセディチGPよりハイスペックということになる。何ということでしょう。

更に車体は徹底的にカーボン。カウリングやホイールはまぁわかる。しかしだ、フレーム、果てにはスイングアームまでカーボンという、ワークスレーサークラスの機能追求っぷり。これがナンバー付きで公道走行OKというのだから驚きだ。

結果、車両重量は驚異の159kg、ヘタしたら250ccスポーツバイクよりも軽い!スーパーレッジェーラ=超軽量という名は伊達じゃなかった。

因みに私丸山浩、たまたま箱根でこの車両を撮影する場に居合わせて、たまたま押し引き取り回しできるチャンスに遭遇したのだが、それはもう軽いのなんの。コイツは世界を飛び回るたった1台しかないお披露目モデルなので試乗は出来ないが、この軽さが生むハンドリングは相当なパフォーマンスだろう。

ということで、今回はこの軽さにフォーカスして解説してみよう。

◆F1に匹敵するパワーウエイトレシオ

モータースポーツにおけるマシンの運動性能を測る指標に、「パワーウェイトレシオ(kg/ps)」というものがある。1馬力あたりが担う車重を算出した値で(逆のパターンもある)、この場合は数字が小さければ小さいほどパフォーマンスは高い。もちろん重量そのものが慣性に影響したりと一概には言えないが、もっぱら加速能力を比較する基準となる。

では、このスーパーレッジェーラV4のパワーウェイトレシオを実際に計算してみよう。カーボンてんこ盛りで超軽量な159kgを最高出力224psで割ると、約0.7kg/ps。そんでもってレーシングエキゾーストを装着すると出力アップ&モア軽量化で約0.65kg/psとなる。実はこれ、とんでもない数字なのだ。

どれくらいとんでもないか。例えば、ライトウェイトスポーツが代名詞のロータス『エリーゼ』の場合、モデルによって異なるが概ね6〜8kg/ps。パワー重視で無いためか、思いのほかな数値である。ならば1500馬力のぶっ飛びパフォーマンスなブガッティ『シロン』はというと、これでも約1.3kg/psだ。そう、4輪で1kg/psを切るとなるとフォーミュラーマシン級。

最高峰のF1においては世代でレギュレーションも変わるし公称値はチームにより様々なのでコレと一つの値を言い切れるものではないが、最も出力が高かった時代は0.5kg/ps台、その逆は0.8kg/ps台もあったと推測される。これらパワーウェイトレシオを比較しつまるところ、スーパーレッジェーラV4はフォーミュラーワンに匹敵するパフォーマンスといえよう!

◆ドゥカティのやりたいことを存分に詰め込んだ結晶

まぁ往々にして圧倒的に車重が軽い2輪、とりわけ高出力1000ccスーパースポーツのパワーウェイトレシオは凄いと兼ねてから評判なので、4輪を比較対象にするのは酷な話。バイク界のライバルたちの数値をみやるに、ホンダ『CBR1000RR-R』で0.92kg/ps、BMW『S1000RR』で0.93kg/psと、公道仕様でもバリバリ1.0kg/psを切ってくる。しかしそれらの中でも、スーパーレッジェーラV4は頭一つ抜きん出ている。

また方向性は違うが、スーパーチャージャーという唯一無二の強カードを持つ異端児、最高速特化型のカワサキ『Ninja H2R』がラムエア加圧時で0.66kg/psということを鑑みても、スーパーレッジェーラV4が如何に特出したポテンシャルを持っているかがお分かりいただけるだろう。

実際にドゥカティのテストライダーがムジェロ・サーキットでスーパーレッジェーラV4を走らせ出したタイムは、SBKマシンのベスト+2秒だったそうな。果たして完全サーキット仕様にしてみたら、結果はどうなってしまうのだろう。

そんな限りなくレーシングスペックなマシンなのに公道を走れるというのも凄い話だが、レースレギュレーションの制約が無い分、ドゥカティ自身のやりたいことを存分に詰め込んだ結晶がこのスーパーレッジェーラV4というわけだ。うーん、パニガーレV4とどれくらい違いがあるのだろう、一度はそのハンドリングを体感してみたいものだ。

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー

1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

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