【ヤマハ イービーノ 試乗】これぞ日本の「Kawaii」を表現したEVだ!…佐川健太郎
『E-Vino』(イービーノ)はバッテリーに蓄えた電気でモーターを駆動して走る電動スクーターである。エンジン版ビーノの車体を使ってそのままEV化したもので、マフラーがないことを除けば普通の原付スクーターに見える。
まず可愛らしいデザインが印象的だ。ヤマハでは“レトロポップなファッションスクーター“と位置付けているが、見方を変えれば日本が世界に向けて発信しているクールジャパンにも通ずる日本人独特の感性「kawaii」を体現したものにも思える。
Kawaiiは今や日本のアニメや漫画、ゲームで育った世代の間で浸透している世界共通の言葉。とかくEVではパフォーマンスや先進性を形で表現した奇抜なデザインが好まれるものだが、Eビーノの姿は見る者をホッコリさせる平和と親しみに満ちたものだ。
走り出すときは、メーター下のスイッチを押せばスタンバイオーケー。そのまま右手のアクセルをひねるだけで軽やかに発進する。聞こえてくるのはヒュイーンという微かなモーター音だけで、拍子抜けするほど静か。むしろ風切り音でかき消されてしまうほどだ。
最高出力は1.2kW(1.6PS)とエンジン版に比べても非力だが出足の良さはさすが電動。エンジン版ビーノより12kgも軽い車体の強みを生かし、ゼロ発進からでもアクセルオンでぐっと前に出る。ただその後の加速は緩めで、トップスピードに到達するまでに時間がかかる。これは絶対出力からしても仕方ないところだが、幹線道路などを走るにはやや気が引けるかも。
ちなみに3つの走行モードをクローズドのフラットな路面で試してみると、最もエコな「スタンダード」ではメーター読みで最大35km/h程度、ちょっと強めの「パワー」で同42km/h、坂道などで使う「ブースト」で同49km/hまで引っ張ることができた。ただ、状況によってトップスピードは大きく変わるのも事実。長い上り坂だと速度はがくんと落ちるし、バッテリーが弱ってきてもスピードは出なくなる。
そして、最大の課題は航続距離だろう。メーカーの発表値では3時間のフル充電で29km走れるとあるが、都内での実測では10km過ぎで電池残量が少ないことを知らせる「カメ」マークが点灯していた。ほぼパワーモードに入れたままブーストを使いまくるという、バッテリーを酷使する乗り方をしたことは認めるが、やはりランプが点けば心配になる。実質的には1充電で15kmといったところか。参考までにシート下にはスペアバッテリー搭載スペースがあって実際に交換してみたが、前後のバッテリーを入れ替えてコネクターをつなぎ直すだけと超簡単。慣れれば30秒もかからないほどだ。日常的に乗るのであれば常にバッテリーは2個積みで出かけるのが安心だろう。
電動アシスト自転車よりはスピードも出て距離も伸ばせるし、原付エンジン車のように排気ガスや排気音も出ない。そう考えると両者の中間的な存在かも。隣の町までちょっと買い物に行くとか、毎日決まった通勤通学用など、距離が読めている使い方に関しては便利だと思う。エコでクリーンで電気代も1チャージ14円とタダみたいなものだ。欲を言えばモアパワーを。エンジン車でなくてはならない理由は他には見当たらない。
■5つ星評価
パワーソース:★★
ハンドリング:★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★
佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。
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