2018年11月30日 13:00

高速道も走れるEVスクーター「ADIVA VX-1」が面白い…乗ってわかったEVの課題と可能性

先に開催された「EICMA2018」でもハーレーダビッドソン初の電動バイクの他、各メーカーから電動バイクが発表されるなど、2輪にもいよいよ本格的なEVブームが訪れようとしている。そんな折、イタリアの先進的スクーターブランド「ADIVA」から発表された新型EVスクーターが『VX-1』である。

◆車検いらずでオイル交換もなし!EVのメリット

VX-1は余裕のある大柄なボディにリチウムイオンバッテリーと高効率なインホイールモーターを搭載し、最高出力は35kW(約47ps)と400ccガソリン車並みのパワーを発揮するスポーツコミューターである。充電方式は家庭用100V/200V交流の他、充電スタンドで一般的なSAEJ1772方式にも対応。将来的には4輪EVでも普及している世界規格のCHAdeMO(チャデモ)にも対応させて、全国の充電スタンドにて10分〜20分程度で急速充電が可能になる見込みだ。

ちなみに市販バージョンではバッテリー容量によって3タイプが選べる設定で、それによって航続距離(130km/200km/270km)と価格(114万円〜162万円)も異なるので、使い方や予算によって選択できるのも新しい試みと言えよう。

また、EVの場合、運転免許の区分は定格出力で決まるため、VX-1は軽二輪(125〜250cc)クラスと同じになる。つまり、AT限定普通二輪免許で乗れるわけだ。しかも高速道路にも乗れて車検もいらないなどメリットは多い。加えて充電にかかる電気代はガソリンエンジンの3分の1程度で当然オイル交換も必要ないなど、ランニングコストも低く抑えられる経済的なメリットが大きいことも魅力となっている。

◆高速道路も走れるEVスクーター

さて、VX-1のプロトタイプに試乗してみたが、車格は大柄で250ccか400ccのビックスクーター並みと余裕のサイズ感である。ライポジはハンドル位置が高く手前に引かれたアップライトな設定で、フロアスペースも広く足をフットボードのフラット面に置いたり、前方に投げ出すようなクルージングスタイルにも対応するなど快適だ。ただし、シートは固めで幅もあるため足着き性はやや難あり。シート下スペースを確保するためではあるが、200kg近い車重を含めて取り回しはやや気を遣う部分ではある。

出力特性はEVらしく出足がパワフルで、スロットルオンと同時に軽やかなモーター音とともにぐいぐい加速していく。スタートダッシュでの強烈なトルク感はEVならではで、特に低速から中間加速でのスピードの乗りの良さが特徴だ。都市部ではクルマの流れを完全にリードできるし、高速道路でも80〜100km/hまでの加速の伸びは同クラスのガソリン車を上回るレベルと言えるだろう。ちなみに同社データによると100km/hまでの到達時間は6秒となかなかの俊足。最高速度は110km/hに設定されている。

そして特徴的なのは回生ブレーキである。これはかなり強力で、4輪のワンペダルドライブのようにアクセルを逆方向に回すだけで強力なエンジンブレーキがかかる。前後ブレーキを使わなくてもかなり減速するし、スロットルワークだけで自在に速度コントロールできるため高速道路などは車間距離をキープするのが楽だ。もちろん、ブレーキ自体もブレンボ製の前後連動ディスクタイプでよく効くし信頼性も高い。

また回生システムを使うことで再充電が可能になり航続距離を伸ばすことができるメリットも。さらに停止状態からスロットルを逆方向に回すことで後進もできるためパーキング等ではとても便利だ。特に下り坂などでは大柄なボディは取り回しも大変だが、バック方向での駐車が楽々できるなど普通の二輪にはない便利さも魅力になっている。

大柄なフロントカウルはエアプロテクション性能も高く、高速走行では大型スクリーンが効果的に走行風をいなしてくれるので快適。速度を上げるとモーター音はけっこう大きめで、特に回生ブレーキ作動時は「ギュイーン」という唸り音が響くが、それはそれで気持ち良く、逆にEVに乗っている実感は大きいだろう。

◆2輪EV用充電インフラの現状と課題

今回、実際にVX-1で東京都心から横浜みなとみらいまでプチツーリングしてみて分かったことがある。それは充電インフラの問題だ。実証実験を兼ねて充電ステーションを探してみたがまず2輪EV用というものが皆無。それはいいとして、最近は商業施設などにも増えてきた4輪用の充電ステーションがなかなか利用できないのだ。

駐車場の入口で警備員に「バイクはダメだよ」と断られ、充電だけでもさせてほしいと頼んでもその手続きに時間がかかる。また、車体側のコネクターと接続できても充電器のほうで認識できずチャージできない場合もあった。こうした現状を見る限り、EVの性能的には問題がなくても出先での“電欠”には常に気を遣うことになってしまう。充電インフラの整備が今後の2輪EVの普及に大きく関わってくると実感した。

ただ、冒頭で触れたとおり、今後ADIVAでは世界標準の急速充電規格であるCHAdeMOへの対応を進めており、充電インフラ整備だけでなく電力の有効活用も含めた長期的なビジョンを持っている。その意味でも、VX-1には未来へとつながる大きな可能性を感じた。

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